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黒船来航の年に創業したIHI、海から宇宙までの軌跡を知る

黒船来航の年に創業したIHI、海から宇宙までの軌跡を知る

産業博物館i―museの館内全景。6つの時代コーナーに分かれ、各時代の製品を紹介

 1966年に建造され、当時世界一の重量を誇ったタンカー、出光丸、94年に架設された全長3・9キロメートルの明石海峡大橋。IHIの産業博物館「i―muse(アイミューズ)」には、こうした歴史的建造物の模型やパネルが誇らしげに並べられている。IHIグループの歴史と技術の歩みをたどるこの博物館は06年にオープン。その後、18年4月にリニューアルオープンし、モノづくりに関心が高い世代から親子連れまで、幅広く楽しんで学べる内容になっている。

 IHIの創業は、1853年。浦賀沖に米国のペリーが黒船で来航した年だ。施設内ではデジタルモニターによる豊洲の開発歴史をはじめ、150年以上の同社の歴史を六つに分け、第1ゾーンの1853―1945年は「東京駅と運搬機械」、第2ゾーンの46―68年は「出光丸と造船」、第3ゾーンの69―89年は「LNGタンクとエネルギープラント」、第4ゾーンの90―99年は「明石海峡大橋と橋梁・水門」、第5ゾーンの00年以降は「ジェットエンジンの開発」、将来を示す第6ゾーンは「ロケットシステムと宇宙利用」という具合に、それぞれ時代の特徴を示すキーワードで主要製品の開発歴史をまとめている。

 第二次大戦の敗戦から奇跡の復活を遂げた日本経済にとって、マンモスタンカーやジェットエンジンは、まさに象徴だった。出光丸から約10年後に建造された日精丸は48万トン。また、国産初の航空ターボエンジン「FJR710」、「V2500」エンジン、小惑星イトカワの探査で名をはせた「はやぶさ」の回収カプセル、液体水素ロケット「H―1」開発模型などは、同社が国のモノづくりの最先端に関わってきたことを示す証として、深い興味をそそられる。

豊洲の街の誕生から現在までを紹介したデジタルモニター

 土曜、日曜が休日で平日しか行けないのが難点だが「隣接のキッズラボで子どもの科学教室を行った日などは臨時に開館している」(同社)。未来を担う子どもたちに来てもらうことで、モノづくり技能の伝承につなげたいとの思いもにじむ。

【メモ】▽開館時間=9時半―17時半(土曜、日曜、年末年始、ゴールデンウイークは休館)▽入館料=無料▽最寄り駅=東京メトロ有楽町線豊洲駅▽住所=東京都江東区豊洲3の1の1▽電話番号=03・6204・7032
日刊工業新聞2019年7月26日

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