植物油採用でCO2排出量は10分の1に! 火災リスクも軽減する三菱電機の変圧器がスゴい

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植物油を採用した変圧器(三菱電機提供)

三菱電機は植物油を採用することで環境負荷を軽減した電力用変圧器「MELCORE−NEO(メルコア・ネオ)」を2017年に発売した。政府が50年までのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)目標を掲げたことで、環境配慮型製品への注目が高まっている。系統変電システム製作所赤穂工場変圧器製造部内鉄設計課の西村亮岐専任に開発の狙いなどを聞いた。(大阪・園尾雅之)

―植物油を採用した変圧器の特徴は。

「一般的な変圧器は、巻線と鉄心の絶縁性を維持したり冷却したりするための絶縁油に鉱油が使われる。鉱油に代わり大豆油を使える変圧器を開発した。使用済みの油を焼却処分する際、二酸化炭素(CO2)が排出される。それを大豆が育つ時の光合成によって吸収されるCO2と差し引きする。その結果、CO2排出量は鉱油と比べて9割も削減できる。また、引火点が330度Cと高く、火災のリスクも低減できる」

―どのような現場に適していますか。

「鉄道用の変圧器は田園地帯などに設置されることも多い。大豆油は生分解性が高いので、流出した場合でも水質への影響を最小限に抑えられる。老朽化設備の更新需要に合わせて提案する。データセンターや病院など、防火性が要求される現場にも適している」

―普及拡大にあたっての課題は何ですか。

「大豆油は精製の手間を考慮すると、まだ鉱油に比べて高コストだ。今後、流通量が増えれば単価も下がるだろう。海外から調達しているためグローバルの調達網が遮断されるリスクも多少あるが、国内にもある程度の在庫はある。その上で、認知度を高めて拡販につなげたい」

―今後の展開は。

「再生可能エネルギーの発電所は自然に近い場所に設置するので、その場合は変圧器にも環境配慮が求められる。東京五輪関連施設も含めた納入実績があり、21年3月期中には累積出荷台数が30台を突破する見通しだ。実績としては容量30メガボルトアンペア(メガは100万)が最大だが、顧客の要望に応じて50メガボルトアンペア、60メガボルトアンペアなどもラインアップしたい」

日刊工業新聞2021年2月10日

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