三菱電機で働く誇りを取り戻せ!変わる従業員の価値観、環境整備急ぐ

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コロナ禍でよりコミュニケーションの重要性は高まる(左が原田常務)

【意識変化に驚き】

三菱電機は従業員との連帯感を取り戻さなければならない。ここ数年頻発した労務問題をきっかけに従業員との信頼関係が大きく揺らいでいる。

経営幹部らは2020年6月に実施した意識調査の結果に驚きを隠せなかった。三菱電機で働くことの誇りや貢献意欲、他者への入社推奨などの質問に対する良好回答社員の割合(平均値)「従業員エンゲージメントスコア」が63%しかなかったからだ。特に若年層の低さが目立つという。

人事担当常務の原田真治は「人事部門として昔のままのやり方で来てしまった部分があった。きめ細かい対応が求められる時代に対応しきれなかった」と反省する。

メーカーとして事業環境の変化には敏感だが、人間の価値観の変化には疎かったのかもしれない。社長の杉山武史も「職場ごとの人員構成や価値観の変化に合わせた環境整備が遅れてきたので早急に見直す」と言い切る。

エンゲージメントスコア向上は経営の最重要課題となる。時代の変化に合わせて、従業員のキャリア形成支援や柔軟な勤務形態、職場環境整備など全方位で働き方改革を急ぐ。22年度にスコアを70%、将来的に80%に引き上げる目標を明示し、不退転の決意で取り組む。

三菱電機はこの100年間の大半で「人を大切にする会社」と言われてきた。1963年に日本で初めて週休2日制を導入し、当初は隔週だったが、その後の83年に完全週休2日制へ移行した。87年にフレックスタイム制も取り入れた。「時代を先取りして人事制度をつくってきた」と原田は振り返る。

【働くことの誇り】

創立以来、希望退職募集などの人員削減を行ったことがないのが勲章だった。半導体事業への巨額投資があだとなって経営が最も苦しかった2000年前後ですら雇用は守ってきた。

日立製作所、NECと半導体事業を段階的に統合して10年に誕生したルネサスエレクトロニクスはその後、政府系ファンドの産業革新機構(現INCJ)の下でリストラを繰り返した。「11年の東日本大震災で相当ダメージを受けて人員削減をやられて、出資会社にも要請があって我々は全員受け入れた」と、人事一筋の原田は送別と歓迎の両方に立ち会った。

次の100年をつくるのは間違いなく若い力だ。新型コロナウイルス感染拡大により人間の価値観がさらに大きく変化する中で、三菱電機で働くことの誇りを取り戻す挑戦が続く。(敬称略)


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日刊工業新聞2021年2月8日

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三菱電機

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