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精度保ちながら小型化、全自動PCR検査システムの開発秘話

プレシジョン・システム・サイエンス
精度保ちながら小型化、全自動PCR検査システムの開発秘話

ジーンリード エイトについて打ち合わせる(右から)池田秀雄専務技術統括部長と小林課長

「夢のような装置をありがとう」。新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しが見えない中、プレシジョン・システム・サイエンス(PSS)が医療関係者から受けた言葉だ。同社は一度に最大8検体を検査できる全自動PCR検査装置「ジーンリード エイト」をはじめとした全自動遺伝子検査装置を製造販売する。同装置はデオキシリボ核酸(DNA)抽出から増幅、ウイルスなどの検出までを自動で行う。感染症の細菌検出や遺伝子変異によるがん診断など各種検査で活躍してきたが、コロナ禍で注目されている。

ジーンリード エイトの前身で、一度に最大12検体を検査できる「エリート インジーニアス」は2015年に開発され、大病院や血液検査センターなどで採用が進んだ。一方、小型や低価格化を望む中小病院などの声に応え、16年に一度に最大8検体の検査ができる「ジーンリード エイト」の開発に乗り出した。

目指したゴールは標準的なデスクに余裕を持って設置できるサイズ。小林修一消耗品設計課長は「精度を維持しながら小型化の難しさを痛感する毎日だった」と振り返る。結核菌やアスペルギルス(カビの一種)など一部の菌が持つ固い外殻を破る超音波破砕機を省略するなどして小型化を実現した。

一方、装置内で熱がうまく流れず、試薬の反応に影響が出た。空気の循環をコンピューターで解析するなど解決には半年程度かかったが、「先行機でできたという自信があり、弱気にはならなかった」(小林課長)。

小型になった分、試薬など消耗品を設置する際の視認性を高めようと、窓を従来機の正面に加えて側面にも設けた。18年に発売し、コロナ禍では人手による作業を介さないため、検査者の安全性を確保できるだけでなく、人的なミスによる誤判定も大幅に抑えられる。田島秀二社長は「ジーンリード エイトには迅速かつ安全なウイルス検出のため、これからもがんばってほしい」と“わが子”にエールを送る。(千葉・前田健斗)

【製品プロフィル】
ウイルスに罹患(りかん)しているかどうかを全自動で判定できる。PCR検査におけるウイルスからの核酸の抽出から増幅、検出までを全自動化した。医療従事者の負担軽減と同時に、感染リスク低減を実現した。新型コロナをはじめエボラ熱、デング熱など、各種ウイルスや多様な検体、幅広い試薬メーカーに対応可能なオープンシステム機構を備える。

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