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「日本生まれでアジア育ちの世界企業」コロナ禍でライオン社長が打ち出すキーワード

掬川正純氏インタビュー 
「日本生まれでアジア育ちの世界企業」コロナ禍でライオン社長が打ち出すキーワード

ライオン公式サイトより

消費者の衛生意識の高まりを受け、ライオンに注目が集まっている。新型コロナウイルスの感染拡大でハンドソープや消毒液の需要が拡大し、自社ブランド「キレイキレイ」製品は順調に売り上げを伸ばしている。口内の衛生を保つオーラルケア製品の需要も高まっている。掬川正純社長に今後の戦略や目指す企業像を聞いた。

ライオン 掬川正純社長
―衛生関連用品は需要増が続いています。

「2021年は通常の1・5―2倍の需要が発生するだろう。ただ、現在の工場体制で需要増に対応できるとみている。工場を新設する計画は今のところない」

―主力のオーラルケア製品に対する消費者意識も変わってきたのではないですか。

「健康意識が高まったことで、洗口液やフロスなど歯ブラシ以外の製品への興味が高まっている。歯ブラシ以外の製品のユーザー増加に期待できる」

―国連の持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みも進めていますね。

「プラスチックリサイクルに力を入れる。花王とリサイクルの仕組みを作る協働も始まった。リサイクルでは『仕組みをどう作るのか』が重要だ。回収方法から再生用途まで、検討していきたい」

―同業種との協業だからこそできることはありますか。

「容器の材質をそろえるといった未来がありうる。材料が混合物になってしまうとリサイクルしにくい。簡単なことではないが、将来的に容器に関する競争の優先度を下げれば標準化も可能なのではと感じる」

―中国を注力市場として位置付けてきました。

「(コロナ禍でも)中国経済は順調に回復している。ただ、オーラルケア製品が売り上げの約80%を占めているため、成長過程ではいいが、リスクが発生しやすい。洗剤など他の製品にも目を向けてもらえるようにしたい」

―今後の目指す会社像を教えて下さい。

「日本生まれ、アジア育ちの世界企業にしていきたい。インバウンド(訪日外国人)の激減で当社の製品を試してもらう機会は減ったが、オンラインを活用する動きはアジアでも大きい。日本生まれを強みとする成長シナリオを描く」

【記者の目/画期的な新製品誕生に期待】

21年は新しい中期経営計画がスタートする。今後は利益率の高い高付加価値製品の販売拡大と海外市場開拓が、成長のカギとなりそうだ。一方、社内では“働きがい改革”が進行中。自分らしく働ける場ではアイデアが生まれやすい。日常生活を変えてしまうような画期的な新製品の誕生に期待したい。(門脇花梨)

日刊工業新聞2021年2月9日

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