自動車メーカー出身の不動産投資家、立ち上げた会社の倒産に痛恨の設計ミス

アクレス、コロナで投資用マンションの受注消失

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工期の遅延や未完成のまま引き渡しをされるケースが散見(写真はイメージ)

アクレスは、長らく自動車メーカーで勤務する傍ら不動産投資家としても活動していた代表が自身の経験やノウハウを生かし、投資用不動産の販売や仲介を行う目的で2013年に設立した。代表の人脈などを駆使し、一定の引き合いを得ていた。

15年には建設業許可を取得し、建設業にも参入。16年2月期には年売上高約6億7600万円を計上していた。同年7月には太陽光発電所開発とコンサルティング業を手がける企業と資本・業務提携を締結し、太陽光関連事業へ進出するなど事業規模を拡大。太陽光関連事業に関しては固定買い取り価格の引き下げなどによる需要の一巡から半年ほどで提携を打ち切っていたものの、業況は堅調に推移していた。

しかし翌期以降、状況は一変する。17年に同社が手がけたマンションで設計ミスが発覚。発注主より損害賠償請求訴訟を提起され、2600万円の損害賠償の支払いが発生し、資金繰りに異変が生じ始めていた。

さらに別の案件でも設計ミスが発覚し、資金繰りの悪化とともに信用の低下が顕著となり、受注減少のほか、下請け業者においても建設の依頼を断られる事態が発生。依頼を受けてくれた下請け会社においても同社が請負代金を支払ったものの、工期の遅延や未完成のまま引き渡しをされるケースが散見したため、発注主より度重なって訴訟を提起されるようになり、債務ばかりが膨らんでいった。

その後、新規案件を受注したほか、役員報酬の削減や代表個人の資金を賠償金や借り入れの返済へ充てて経営改善に努めたが、20年2月期の年売上高は約7700万円に減少。こうしたなか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、新規の投資用マンションの建築がほぼなくなり受注が消失。今後の見通しが立たなくなり、同年6月30日には、全従業員を解雇するとともに事業を停止。12月9日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。

(文=帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2021年2月2日

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