ポケットに入る「一人用コンロ」、クラファン開始。SNSで活用案も募集
体験型サービス、改善点など情報収集
【1分で組み立て】
町工場の支援事業を手がけるMACHICOCO(マチココ、大阪府東大阪市、戸屋加代社長、06・6720・8735)は、1人用ミニコンロ「ペッタンコンロ」のクラウドファンディング(CF)の募集を近く始める。購入者に新たな使い方の提案などをしてもらう体験型サービスの要素もある。
ペッタンコンロは小窓部分から炭を入れ、肉や魚などを焼いて楽しむことを想定。厚さ1・2ミリメートルのステンレス板14枚を使用。工具を使わずに1分程度で組み立てられる。重さ540グラムで、分解すると洋服のポケットに入るぐらいの大きさとなり持ち運びやすい。
試作板金加工の豊里金属工業(大阪市東淀川区)が開発した。マチココは同社と2020年11月に業務提携を結び、アドバイザーとして開発に携わった。
新製品はCFサイト「キャンプファイヤー」に約1カ月掲載する予定で、目標額を10万円に設定した。「賛同者の人数によって需要があるかどうかの目安にもなるので、マーケティング要素も兼ねている」(戸屋社長)。ポイントは購入者に参加してもらい、サイト上で「何を焼くか」「どういう使い方をするか」を募る点だ。
【SNS活用】
会員制交流サイト(SNS)も活用する。「あなたなら何を焼く?」と題し、購入者がコンロの使用風景を撮影して「インスタグラム」に指定のハッシュタグを付けて写真とともに投稿してもらう。マチココはハッシュタグから購入者の投稿を選び、斬新(ざんしん)な使用法や製品の改善点などの情報を集める。
豊里金属の岩水建二社長は「製作側が思いつかない用途が見つかるかもしれない。極端な話、コンロの組み立てスピードを競う“組み立てグランプリ”とかやっても面白い。一緒に育ててもらうことができるのが一番の狙いだ」と語る。
新型コロナウイルス感染拡大により、外出自粛やソーシャルディスタンスが求められる状況が新製品投入のきっかけとなった。今後は人と接触しない「ソロキャンプ」による“お一人さま”や、自宅のベランダなどでアウトドア気分を楽しむ「ベランピング」などのニーズを取り込む。
また、同コンロは子どもと一緒に組み立てて楽しむという遊びの要素もある。マチココの戸屋社長は「ハッシュタグ投稿や子どもとの遊びなどのゲーム性を持たせ、1人暮らしの人にもファミリー層にも参加してもらいながら、おうち時間を楽しんでほしい」と期待を寄せる。
【シリーズ展開】
CFサイト掲載終了後はマチココのサイトでも販売を予定。3月から製品の生産を開始し、早ければ3月末に購入者の手元に届くよう準備を進める。
同コンロを皮切りに、たき火台などキャンプ用品のシリーズ展開も計画。その際も購入者に「次はどういうものが欲しいか」を募り開発につなげる。
戸屋社長は「コロナ禍でふさぎ込みがちになっている人たちに楽しんでもらうため、その道具としてモノづくり企業による体験型サービスを提供していきたい」と意気込む。(東大阪・新庄悠)