半導体不足で政府が台湾当局に異例の増産要請

調達構造の見直しも自動車業界に要求

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台湾TSMCの製造ライン(同社公式サイトより)

自動車向け半導体の供給不足に伴う自動車メーカーによる減産の動きに対し、政府が台湾当局に増産の要請をしていることが明らかになった。米国やドイツも同様の動きを見せており、需給状況の改善に各国が頭を悩ます姿が浮かぶ。不透明な状況が続く予測が広がる中、従来から水面下でくすぶっていた課題も表面化した形となった。

梶山弘志経済産業相は26日の閣議後会見で、台湾当局に対して半導体増産の要請をしていることを明かした。海外メディアによると、米国やドイツも同様の働きかけをしていると見られ、生産シェアが高い台湾の動向が今後のカギを握る状況となっている。

日本の自動車メーカー各社が減産の方針を打ち出し始めた年明け当初、自動車・半導体業界を所管する経産省では情報収集に追われる一方、「様子見」(ある経産省幹部)が続いた。今回の事態が長期化の様相を呈しつつある中、「自動車メーカーの動きだけでは対処できない状況」(別の経産省幹部)に至ったことから要請に踏み切ったとみられる。

実際には「引き続き注視する」(梶山経産相)しかない状況も浮かぶ。企業同士による解決を原則とする案件に対し、政府として介入のさじ加減を調整する中で現状は後方支援の形で解決の糸口を探っている。

一方で今回の供給不足を機に、経産省内では「調達構造の見直しを自動車業界に働きかけなければならない」との声も出てきた。これまでも災害発生直後にはサプライチェーン(供給網)維持のため業界の垣根を越えた連携の動きもあったが、通常段階に戻ると需要家である自動車メーカーの要望が強くなってしまう側面を挙げる。

調達構造の安定化には、レジリエンス(災害対応力)強化や経済安全保障の観点など複雑な要因が絡み合う。半導体に限らず「パワーバランスの均衡」(経産省幹部)を意識した取り組みも、不測の事態に備える上でより重要性が高まりそうだ。

日刊工業新聞2021年1月28日

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