RPAで約4万時間削減の横河電機、新中計で社長が重視する3領域

横河電機社長・奈良寿氏インタビュー

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横河電機社長・奈良寿氏
―足元の状況は。

「エネルギー市場の需要減退が2020年初に始まり、新型コロナウイルス感染拡大でこれが加速した。主要な顧客は新規の投資を20―30%ほど抑えている。一方、コロナ禍に伴う新常態(ニューノーマル)で、プラントサービスやエンジニアリングなどをリモートで実施する機会が増えた」

―プラントの自律制御の重要性を訴えてきました。

「海外を中心に安全を担保しながら、コストの低減と生産性の向上をいかに達成するかに関心が高まっている。今後はプラントの単なる自動化ではなく、自律化に向けた運営が加速していく。この具現化が21年度(22年3月期)以降の当社のテーマだ」

―医薬品分野の展開は。

「細胞関連や比較的伸びていくと考えられる中分子分野の技術の獲得や投資を継続する。デリバリーが重要になると考えており、サプライチェーン(供給網)の分野でもビジネスを拡張したい。モノを計測して制御し、情報管理ができる当社の強みが生かせるはずだ。事業強化に向けて人材採用を進めている」

―デジタル変革(DX)の進捗(しんちょく)は。

「社内では定型化した業務にRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)を導入し、約4万時間の削減効果があった。導入前は精緻なデータが必ずしも集まってはおらず、『データドリブン』な経営になってきたと感じる。社外向けは人工知能(AI)を活用した品質の安定化やプラントの予防保全を提供している」

―21年度は新たな中期経営計画がスタートします。

「バイオ、エネルギー、マテリアルの計3領域を重視する。従来のエネルギーに軸足を置きつつ、再生可能エネルギー関連にも力を入れる。また長期的な計画も示し、会社の存在意義を見直す。気候変動のほか、新型コロナで人の価値観が変わってきた。企業価値を向上させ、当社のビジネスを再構築したい」

※取材はオンラインで実施。写真は横河電機提供

【記者の目/ビジネス再構築、スピード感を】

かねて自律制御に対応した製品群を展開。20年は新型コロナの影響もあいまって、これらの製品や技術の活躍する場が増えた。とはいえ、主力の制御事業の業績のマイナスを大きくカバーできるかは未知数。スピード感あるビジネスの再構築は必須だ。次期中計と長期計画でその姿を示す必要がある。(石宮由紀子)

日刊工業新聞2021年1月26日

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