1000点の吊り金具をRFIDで一元管理、極限環境での施工管理に
ルッドリフティングジャパン(大阪市西区、平松修社長)は、同社が扱う約1000点の全吊(つ)り金具に無線識別(RFID)チップを標準装備し、製品情報を一元管理できるサービスを始めた。従来のチップ装備率は約70%だったが、吊り荷重25トン以上の大型製品にも対象を広げた。吊り金具のトレーサビリティー(履歴管理)強化、点検報告書作成業務のデジタル変革(DX)推進などに役立ててもらいたい考えだ。
ルッドリフティングジャパンが始めたのはRFIDによる製品管理サービス「RUDブルーIDシステム」。吊り金具にRFIDチップを取り付け、点検記録などを専用のUSBタイプのIDリーダーと連動してクラウド上で管理する。荷重、寸法図、検査証明書などが確認できる。
チップはマイナス40度―200度Cの温度下で使える。吊り金具は荷重範囲内で正しく使えば寿命は半永久的だが、海風による錆や作業時の振動の影響で劣化する可能性もある。そうした過酷な環境下での厳密な製品管理にチップを活用できる。RFID番号の読み取り用のリーダーの価格は6万円(消費税抜き)。
親会社のドイツ・ルッド製の吊り金具はピンク色で、従来はチップも同色だったが、識別しやすいように青色に変えた。チップ未搭載の他社製吊り金具への装備も請け負う。
ホイスト(荷揚げ)クレーンなどに取り付ける吊り金具は重工業、ゼネコンなど幅広い産業で使われる。平松社長は「(今後の設置機運が高まる)洋上風力発電などの施工現場でも吊り金具は欠かせない」とチップの提案に力を入れる。
日刊工業新聞2021年1月26日