台湾・TSMC、車載向け半導体不足で5月に増産へ

  • 0
  • 11
TSMCの製造現場(同社公式サイトより)

半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、5月をめどにした先端半導体の増産に向け、準備に入った。全世界で自動車の減産を招いている車載用半導体の供給不足に対応するためとみられる。半導体不足問題の長期化が懸念されているが、増産が実現すれば、裾野の広い自動車産業を悩ます“減産ドミノ”に歯止めがかかりそうだ。

TSMCは台湾の先端半導体工場での増産を目指し、このほど地元サプライヤーに対して協力要請を出した。現在は半導体製造に必要な材料などについて、5月頃からの供給予定量の増量余地を調査している段階だ。そのため、増産の実現性や規模はまだ不透明だ。

世界的に半導体不足が深刻なのは、蘭NXPセミコンダクターズやスイスのSTマイクロエレクトロニクスなどがTSMC中心にファウンドリーへ生産委託する自動車向けの先端半導体だ。車載用マイコンやカーナビゲーションシステム用統合チップ「SoC(システム・オン・チップ)」などの供給不安は2020年末に顕在化した。

すでに独フォルクスワーゲンやトヨタ自動車、日産自動車、ホンダなど世界大手が軒並み減産を強いられている。ただ、TSMCなどが持つ先端半導体の生産能力はコロナ禍のIT特需や第5世代通信(5G)関連の注文でほぼ埋まり、車載半導体不足の解消には時間がかかるとの見方も出ていた。TSMCの増産準備は、危機感を強める自動車業界への吉報となりそうだ。

TSMCは台湾のほかに、米国と中国に生産拠点を構える。ただ先端半導体は現状、台湾だけで製造しており、全世界のキーデバイス需要が一極集中しやすい市場構造にあった。20年に発表した米国アリゾナ州での新工場計画が実現すれば、同社にとって海外初の先端半導体工場になる。

日刊工業新聞2020年1月15日

関連する記事はこちら

特集