キヤノンCEO「カメラ業界の再編は終わった」

御手洗氏に聞く「強みはいろいろある」

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キヤノン会長兼社長CEO・御手洗冨士夫氏
―2020年はコロナ禍に翻弄(ほんろう)されました。

「オフィスはカラー機などが好評でハードこそ微増だが、稼ぎ頭の消耗品が落ち込んだ影響は大きい。それでも全体を振り返ると、産業機器の回復があり予想よりも好転した。20年10―12月期の状況を踏まえると公表している通期目標には届きそうだ」

―新たな5カ年計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズ6」が始まります。

「過去最高の売上高だった07年の4兆4813億円を25年には抜きたい。07年と今では為替レートが大きく異なる。換算し直して比べると成長が分かる。フェーズ5は将来につながる結果を残せた。先を見据えてそろえた四つの新事業は既存事業の落ち込みを補うことができた」

―計画に合わせて事業領域を再編しました。光学産業事業は“産業の目”の拡大に期待がかかります。

「ロボットや無人運転など、どのような形になったとしても入力装置の基本はセンサーとレンズだ。その技術が両方あるのは大きい。今後の光学産業事業をけん引するのはスマートシティー(次世代環境都市)に欠かせないネットワークカメラ関連。2億5000万画素の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサーをはじめ強みはいろいろある」

―厳しい環境が続くカメラや事務機器では、それぞれ業界再編が進むのでしょうか。

「カメラは(オリンパス撤退で)むしろ再編が終わったのではないか。残る関心事は(オリンパスのカメラ事業を継承した)OMデジタルソリューションズの今後だろうが、国内に買い手がいるとは考えにくい。事務機器の環境はカメラほどは悪くはない。現状はコロナ禍の一時的な影響が大きく、再編はないだろう」

―二酸化炭素(CO2)排出量削減の取り組みが加速しています。現在の目標を見直す可能性はありますか。

「目標値の引き上げは考えられる。現在の目標(製品1台のライフサイクルCO2改善指数の年平均3%改善)は毎年達成してきた。今後も自ら目標を設定して取り組んでいく。CO2削減のムーブメントはカメラがデジタル化した時のような需要を生むだろう。新産業の創出と景気回復を後押しすると期待している」

【記者の目/既存事業の安定不可欠】

キヤノンは商業印刷、ネットワークカメラ、メディカル、産業機器という四つの新規事業を飛躍させる「戦略的大転換」を進めている。新規事業の存在感は徐々に増しているが、まだ成長途上で、カメラやプリンターをはじめとする既存事業の安定が引き続き重要な課題。マイナス影響の抑制に努める我慢の局面が続きそうだ。(国広伽奈子)

日刊工業新聞2021年1月12日

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