災害時だけでなく3密回避も!トヨタ電動車の外部給電機能が生活インフラになる日

  • 0
  • 2
新型ミライは水素タンクを増やし外部給電の電力量を高めた

トヨタ自動車が災害時に電動車の電気を住宅などに供給できる外部給電に関する取り組みを加速している。トヨタが2020年12月に発売した新型燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」で水素タンクを増やし、先代モデルに比べて電力量を高めた。電動車と避難所などの最適なマッチングを図るアプリケーション(応用ソフト)の開発などにも取り組んでおり、普及拡大へ“全方位”での活動に力を入れていく。(名古屋・山岸渉)

自治体と連携 配車アプリ開発

「災害時に乗用車が定置型の蓄電池にもなりうる。エネルギーセキュリティーの観点からもFCVへの期待値は大きい」。トヨタの前田昌彦執行役員は新型ミライへの期待をこう示す。

新型ミライは水素タンクを2本から3本にしたことで電力量を従来比約25%増の約75キロワット時に高めた。災害時により電力供給量などが求められる場合にも対応できる。外部給電システムを使用中でも、車内2カ所のアクセサリーコンセントの使用が可能。1500ワットまで対応する。

トヨタは災害時のニーズを受け、車両の外部給電機能の拡充を進めている。新型ミライだけではなく、20年7月に一部改良したハイブリッド車(HV)「プリウス」やプラグインハイブリッド車(PHV)「プリウスPHV」で外部給電機能を標準装備した。デンヨーと開発した燃料電池(FC)電源車や、ホンダと共同開発したFCバスを使う給電システム「ムービングイー」での実証にも取り組む考えだ。

認知度向上へ情報発信

一方で外部給電の課題は認知度の低さだ。啓発面では、ホームページでの紹介や防災イベントなどでの外部給電機能に関する地道な情報発信にも力を入れている。災害による停電時の対応だけではなく、新型コロナウイルス感染拡大で、避難所での「3密」回避の点でも自宅で電気が使える外部給電機能が貢献できる点は大きいとみる。

車両側の機能拡充だけでなく、さまざまな自治体や企業などと連携しつつ、外部給電の効率的な利用も推進する。

例えば、トヨタは電動車の効率的な運営を支援する配車システムのアプリの開発に取り組んでいる。トヨタの技術部が中心となり、自治体や販売店などと連携する。アプリでは企業や自治体、販売店などが持つ電動車で支援協力する側と、避難所などの支援を受けたい側がシステムに情報を登録し、距離などに応じて最適な配車につなげる構想だ。

20年11月に予定していた愛知県豊田市などとアプリを使った実証実験は、新型コロナウイルス感染症の広がりを受け中止にした。そのため豊田市は「規模を縮小するなどして21年3月までに実施したい」考えだ。

トヨタは全国のトヨタ販売店とともに、地域自治体と給電支援ネットワークの構築も進める。20年11月時点で約60の自治体と災害時の支援を含む包括連携協定を締結した。豊田市やトヨタホーム(名古屋市東区)などと連携して外部給電の普及拡大を目指す「SAKURAプロジェクト」にも参画している。さまざまな関係者を巻き込みながら、いわば“全方位”の活動で外部給電機能の有用性をアピールし、普及拡大の成果に結びつける。

日刊工業新聞2021年1月8日

関連する記事はこちら

特集