「プリウス」に外部給電を標準装備するトヨタの覚悟

災害対応で自治体と連携、人に寄り添う

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トヨタは電動車による給電機能の訴求拡大で地域に「安心」を届ける

トヨタ自動車が電動車の外部給電機能に着目し、普及に向けた取り組みを積極化している。認知度の低さという課題を抱えるが、災害対応などで存在感は高まっている。トヨタはハイブリッド車(HV)「プリウス」とプラグインハイブリッド車(PHV)「プリウスPHV」で給電機能を標準装備したほか、販売店とともに自治体と防災での連携を進める。給電機能の普及とともに地域社会に寄り添う姿勢をより鮮明にする。

「災害時に不安で不便な状況を強いられる環境を軽減・解消できないだろうか。車はもっと身近に人に寄り添う存在でありたい」。田中義和ミッドサイズビークルカンパニーMS製品企画ZFチーフエンジニアはこう力を込める。

トヨタは7月に発売したプリウスとプリウスPHVでオプション設定だった給電機能を標準装備とした。プリウスPHVではソーラー充電システムを全グレードでオプション設定し、機能を拡充している。

これまでトヨタのHVでは、購入客が給電機能をオプション選択する割合が1―2割という状況で、認知度の低さが課題だった。「幅広く愛されているプリウスが率先して身近で役に立てる電動車の代表になるべきだ」(田中チーフエンジニア)と捉え、給電機能の標準装備に踏み切った。

一方で、電動車が移動電源となり、災害時など給電機能のニーズを実感する場面が増えている。18年9月の北海道胆振東部地震や19年9月に千葉県を直撃した台風被害では、被災者のスマートフォンの充電などに活用され、トヨタの電動車が地域住民の生活支援につながった。直近では7月の九州豪雨でも、熊本県の販売店から熊本県に電動車を含めた車両を提供している。

電動車の給電機能は、新型コロナウイルスのリスクが続く中で感染拡大防止に寄与する面もある。国内販売事業本部この町いちばん活動支援室の加藤貴也主任は「災害が起きた際に避難所が3密になる可能性がある。在宅避難としても活用してもらえる」と語る。

販売店ではHVなどを給電可能車としてアピールするほか、トヨタは販売店などとともに自治体との防災での連携に力を入れる。20年1月には愛知県と地域活性化に関する包括連携協定を結び、災害時の給電支援などに取り組む。今後も地域の販売店と各自治体などで防災に関する連携を拡大する考えだ。

日産自動車や三菱自動車も電気自動車(EV)などを活用し、災害時における自治体との連携を広げている。社会生活を支える上で、電動車による給電機能の重要性は、ますます高まりそうだ。

(取材=名古屋・山岸渉)

日刊工業新聞2020年7月16日

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