不振の船舶に稼ぎ頭の建機、住友重機が「脱炭素」を見据え次なる投資へ動く

下村真司社長インタビュー

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住友重機械工業公式サイトより

―4月から始まる次期中期経営計画の投資方針は。

「設備投資は中計期間の3年間の総額で考える。研究開発費はさまざまな面で必要で、長期的な課題に取り組むためにも、前回の中計期間よりはやや増える」

―半導体の製造工程に使われるイオン注入装置の新工場を建設します。

「イオン注入装置は上期(2020年4―9月期)に好調で、21年3月期業績予想の上方修正につながり、工場の新設も決めた。半導体分野は米中貿易摩擦の影響をかなり受けるだろうが、伸びていくのは間違いない」

―二酸化炭素(CO2)の排出を減らす「脱炭素化」をはじめ、社会課題の解決力がこれまで以上に問われます。

「脱炭素化の流れを踏まえた新事業を積極的に展開する。我々の強みを生かし、その他の課題にも対応して成長するビジネスモデルが必要と考えている」

―稼ぎ頭の建設機械部門の見通しは。

「中国の油圧ショベル市場では現地メーカーが伸びていて、日本や欧米メーカーのシェアは下がっている。我々はもともとシェアが低いので、量(販売台数)を求めるのではなく、日本の品質を求める顧客を手堅く取り込んでいく」

―不振の船舶部門の対応策は。

「新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響も受けていて、厳しい状況だ。船舶は本来、一定の事業規模が必要な産業だが、新造船だけで黒字化するのは難しく、最小限(の建造体制)で運営していくしかない」

―不透明な経営環境が続く見込みです。

「コロナ禍前のように改善するには22年までかかるだろう。ただ、想定よりも早い回復への備えはできている」

―働き方改革も求められます。

「新型コロナの感染防止に向けた在宅勤務を通じて働き方が変わってきている。一方、制度を見直す検討も始めたが、難しい問題だ。働きがいを感じられるようにするのが私の役目だ」

【記者の目/新中計で船舶テコ入れ策を】

重工各社の業績がコロナ禍で悪化する状況で、住友重機械の業績も同様に影響を受けているものの、半導体分野の好調を理由に上方修正した。ただ、営業赤字が続く船舶部門は収益に占める比率は小さいとはいえ懸念材料だ。造船業界で再編や構造改革が始まっており、新中計でテコ入れ策を打ち出す必要がありそうだ。(孝志勇輔)

日刊工業新聞2021年1月7日

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