100周年を迎える三菱電機、杉山社長が描く未来への前進

三菱電機・杉山武史社長に聞く

  • 1
  • 5

―昨年発足した菅義偉政権が脱炭素を掲げ、2050年までの温暖化ガスの実質ゼロ目標を打ち出しました。

「電力システムの観点で言えば、石炭火力など大きな発電所がなくなるというトレンドと見るべきだ。再生可能エネルギーの導入が進むと、系統なども大規模に変換する需要が減る。脱炭素とは発電所などが大型から中型へシフトすることで、我々は事業をすでに縮小してきており、その延長線上だ」

「19年に策定した『環境ビジョン2050』で50年に二酸化炭素(CO2)排出量を13年度比で80%以上削減する目標を示した。ただ、菅首相があのような形で脱炭素社会を目指すと言われたので、温暖化ガス実質ゼロ目標に沿ったメッセージを出さないといけない。現在(見直しを)準備しており、早ければ21年中に発表する」

―20年は従来の稼ぎ頭だったFAや自動車部品などの産業メカトロニクス部門に強い逆風が吹きました。21年度の業績見通しは。

「自動車関連事業へのダメージが一番大きかった。21年度は19年度の規模に戻らないシナリオが一般的だ。足元の受注は中国に加えて米国の新車販売もかなり回復しているが、アジアや欧州がまだ低調だ。ただ、自動車以外の事業は戻ってきて、21年度は19年度のレベルに回復できる」

―21―25年度の次期中期経営計画策定の進み具合は。

「今、議論している。分かりやすいKPI(重要業績評価指標)はあった方が良いので、数値目標は出すつもりだ。売り上げや利益だけでなく、株主資本利益率(ROE)や投下資本利益率(ROIC)など新たな数値も考えており、発表時に社内外へ明示する」

―残念ながら20年は不正アクセスによる情報漏えいが複数回発生しました。

「情報を漏えいさせた責任は感じているが、だからと言って我々が悪かったとはとらえていない。防衛や社会インフラ事業を手がけており、狙われやすいことを内部で認識した上で高度化する数々の手口を精査し、予防とデータの格納方法を強化しないといけない」

記者の目/次の100年へ重要な1年

2月に創立100周年を迎える節目の1年になる。国内の同業他社に先んじて“総合電機”の看板を下ろし、長年高収益の優等生だった。しかし、デジタル変革(DX)や脱炭素が社会の大きなトレンドになる中で、事業群を絞りきった選択と集中が今後の成長余地を狭めた可能性がある。21年は次の100年の方向性を決める重要な1年だ。(編集委員・鈴木岳志)

関連する記事はこちら

特集