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国立科学博物館などが発見した千葉県の新種鉱物、天然ガスの手がかりになるか

「房総石(せき)」と命名

国立科学博物館、東北大学などの研究グループは、千葉県で新種鉱物を発見し、「房総石(せき)」と命名した。結晶構造中に天然ガス分子を含む特殊な鉱物で、エネルギー源として注目される天然ガスハイドレートと似た結晶構造を持つことが分かった。天然ガスの起源を調べる手がかりになると期待される。

千葉県南房総市で2011年に見つかった「千葉石」を分析する過程で発見。国際鉱物学連合の審査を経て房総石と命名された。千葉石、房総石はともに、ケイ素原子と酸素原子からなるかご状の結晶構造を持ち、かご内部にメタンなどの天然ガス分子が閉じ込められている。

天然ガスハイドレートも水分子のかご中にガス分子が閉じ込められた構造を持つ。天然ガスハイドレートは3種が知られ、メタンハイドレートはI型、千葉石はII型だが、房総石はH型の構造をとることが分かった。H型は産出量が少なく、シリカ系鉱物でH型相当の鉱物の発見は房総石が初めてという。

房総石は天然ガスの「タイムカプセル」として、地層中での有機物の分解や脱ガス反応などを知るのに役立つと考えられる。また、かご構造中にガス分子として二酸化炭素(CO2)を閉じ込めることもできるため、CO2地層処分技術につながる可能性がある。千葉県立中央博物館、物質・材料研究機構、アマチュア研究家らとの共同研究。

日刊工業新聞2020年12月25日

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