トヨタが「eパレット」実用前倒し!MaaS開発にアクセル全開

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MaaSの一例として紹介したeパレットによる移動式のアパレル店舗

運行制御・業務管理、TPS応用

トヨタ自動車が次世代モビリティーの実用化に向けて、アクセルを踏み込む。22日にMaaS(乗り物のサービス化)車両として開発中の自動運転機能付き電気自動車(EV)「eパレット」の運行管理システムを公開。トヨタはコロナ禍に伴う移動制限などを受け、MaaS車両のニーズはさらに高まるとみており、2023年以降としていた実用化を前倒しで進める構え。20年代前半に国内の複数地域で商用化を目指す。(名古屋編集委員・長塚崇寛)

eパレットはトヨタ初のMaaS向け車両となる。一度に20人が乗車可能。初披露の場は21年7月の東京五輪・パラリンピックで、16台が選手や大会関係者の移動をサポートする。MaaS事業を所管する山本圭司プレジデントは「モノづくりで培ったハードの強みにソフトを加え、次世代車両の開発スピードを上げることが使命だ」と力を込める。

自動運転機能を搭載し、熟練ドライバーのようなスムーズな加減速やカーブ走行を追求。歩行者を自動検知して道を譲るなど、「歩行者や周囲の車両といかにコミュニケーションを取って安全に運行するか」(牟田隆宏コネクティッドカンパニーMaaS事業部MaaS―Zグループ主査)にこだわった。

トヨタは商用化を見越して、車両の運用を効率的かつ安全に制御する管理するシステムを開発した。一つが複数の車両の走行を同時に制御するシステムだ。コントロールセンターで車両の位置や走行状況を随時把握。交差点で先行車両を優先したり、車両の間隔を適度に保つよう走行指示を出したりなど、「実運用に向けたベースができあがった」(牟田主査)。

車両制御と同時にサービスの見える化や、スタッフの業務管理を担うシステムも用意した。乗車率や待機車両の台数を分析し、混雑時には車両の追加投入を自動で判断する。従業員にはスマートフォンで業務の指示を送り、業務量が増えているセクションを増員するなど、常に最適な人員で業務を遂行できるようにした。

システムには長年培ってきたトヨタ生産方式(TPS)のノウハウを落とし込んだ。利用者のニーズに合わせて適切な時間に車両が到着する「ジャストインタイム」や、車両・人員の状況を見える化する「かんばん方式」の概念を応用した。

同車を活用した移動式の宅配ロッカーやアパレル店舗など、想定サービスの一端も示した。利用者の希望する時間・場所に車両が出向き、荷物の受け取りや買い物ができるなど、コロナに伴う接触リスクの回避や宅配ドライバー不足の解消が期待できる。

eパレットはトヨタが静岡県裾野市で21年2月に着工する実証都市「ウーブン・シティ」にも導入され、一層の進化を目指すことになる。「移動に関するあらゆるサービスを提供する『モビリティーカンパニー』にモデルチェンジする」(豊田章男社長)ための基盤の一つとなる。

日刊工業新聞2020年12月23日

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