水性塗料の乾燥時間を3割削減、トヨタの“カイゼン”が止まらない

新型乾燥機を開発

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販売店のサービス工場向けに開発した水性塗料の新型乾燥機

トヨタ自動車は従来手法に比べ、水性塗料の乾燥時間を最大3割短縮できる乾燥機を開発した。有機溶剤を使わない水性塗料は従業員の健康・安全確保や工場の周辺環境への配慮が期待できるが、乾燥時間が長いといった課題があった。新型機の導入で作業効率を高めてもらい、水性塗料の利用を促進する。修理や保守を担うサービス工場を保有する販売店向けに、2021年2月から受注を開始する。

新型乾燥機「カーワーク」は一瞬で最高温度に到達する赤外線ランプを活用し、塗膜を直接加熱するのが特徴。ランプの出力を使用する塗料や気温に合わせ、水分子を一番吸収しやすい波長域に調整する機能を搭載。水が蒸発しやすくなり、乾燥時間の短縮につながる。

試験導入しているネッツトヨタ富山(富山市)によれば、気温20度C・湿度80%の条件で、乾燥時間を1台当たり35分短縮できたという。トヨタは足元で国内外メーカー9社の塗料を使用している。乾燥機には9社分の塗料データが入力されており、作業者は使用するメーカーや色味などを選択するだけで、乾燥時間やランプの出力を自動で算定できる。

現在は塗装ブース内全体を暖めて手動の温風ドライヤーで部分的に乾燥するため、乾燥時間が長く従業員の負担にもなっていた。新型機はブースの天井に配置したレールにつり下げる形で設置。対象の車両に沿って乾燥機を手動で動かし、各ポイントを記憶させることで、経路を乾燥機が自動で走行する。

トヨタ系のサービス工場では、05年の改正大気汚染防止法の施行に伴い水性塗料の導入に取り組んでいる。ただ、生産性低下やコスト高などから水性塗料の導入率は65%となっている。トヨタは販売店や塗料メーカーの協力を得て、生産性向上や塗料コストの低減を進めており、将来は導入率100%を目指す。

日刊工業新聞2020年12月22日

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