スズキの新型「ソリオ」、独自HVを止めた開発者の本音

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「ソリオ」公式動画より
<スズキ商品・原価企画本部四輪商品第一部チーフエンジニア 永田和夫氏>

コンパクトハイトワゴンの先駆者として新市場を切り開いた「ソリオ」を「ソリオ バンディット」とともに5年ぶりに全面改良した。快適性を追い求め、運転席でも後席でも快適に乗れることを最優先に開発した。

家族層などから「荷室をより広くしてほしい」というニーズを受け、最大の魅力である広い居住空間に加え荷室も拡大した。デザイン的にも成立するように見た目、バランスを考慮しながら全長は80ミリメートル(バンディットは70ミリメートル)、荷室床面長は100ミリメートル、それぞれ広げた。最大限荷室を広くとり、荷物を多く載せても後席はゆったり座れるようにした。

タイヤ位置は変更しなかったため、最小回転半径は先代モデルの4・8メートルを維持した。後席の空間を確保するため室内形状を工夫し、先代モデルでは出っ張っていた箇所を修正。後席から乗車し、運転席に着くことも可能になった。当社の小型車として初めて「スリムサーキュレーター」を採用し前席と後席の温度差をなくした。

荷室の広さを優先し先代モデルにあった「ストロング型」ハイブリッド車(HV)の設定をやめた。ストロング型は電池を荷室の下に収納し、使い勝手を犠牲にしたからだ。今回はガソリンエンジン車とマイルドHVに絞り、荷室床下にも収納スペースが生まれた。

安全機能も充実した。当社の小型車として初めて運転席のダッシュボード上にヘッドアップディスプレーを搭載。車速やシフト位置、ナビゲーションの目的地の指示などをカラーで表示し、目線をそらす頻度を少なくできる。全方位モニターの搭載も当社の小型車初だ。カメラ映像をデジタル伝送することで、先代ソリオに比べ画質が良くなった。

力強さと低燃費を両立した排気量1200ccの4気筒エンジンを搭載した。マイルドHVはモーター機能付発電機(ISG)と専用リチウムイオン電池を組み合わせた独自のシステム。軽量・高剛性の新プラットフォーム(車台)「ハーテクト」も採用している。

新型ソリオは、とにかく快適性を追い求めた。競争が激しいコンパクトハイトワゴン市場において「快適なクルマ=ソリオ」と言われることを目指した。

【記者の目】
スズキ独自のストロングHVは「先代モデルの売れ方を見て」(鈴木俊宏社長)廃止した。ソリオの主要顧客の30―40代男性は価格にシビアで、大幅に値上がりするストロングHVまでは求めないという判断だ。コンパクトハイトワゴン市場では、後発のトヨタ自動車「ルーミー」の追い上げを許しているソリオ。価格上昇を抑えつつ広さを追求した新型で巻き返しを図る。
(日刊工業新聞浜松支局・岩崎左恵)

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