総事業費5兆円、かりそめの次期「国産」戦闘機はやっぱり米国頼み?

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次期戦闘機はF2の後継機となる(F2=航空自衛隊入間基地)

2030年代半ばに配備が始まる航空自衛隊の次期戦闘機について、開発体制の概要が固まった。三菱重工業が開発主体となり、エンジンはIHI、最新鋭ステルス戦闘機「F35」を製造する米ロッキード・マーチンが技術支援する構図となる見通しだ。

次期戦闘機は現行の戦闘機「F2」の後継で、配備機数は約90機が見込まれている。30年代半ばに空自の主力を占めるのはロッキードの「F35A」と垂直離着陸型の「同B」で、合計機数は140機強となる。南西諸島沖や日本海上空の防衛において日米双方の相互運用性(オペラビリティー)は不可欠。その意味でロッキードと組むのは順当な選択といえる。今後は米側が、技術情報をどれだけ開示するかが焦点となる。

F2の開発では、日本は1970年代に煮え湯を飲ませられた経緯がある。当初、三菱重工が開発した戦闘機「F1」に続く国産機にするはずだった。だが、日米貿易摩擦の影響やエンジンの推力不足もあって、すでに運用が始まっていた米国の戦闘機「F16」の改造に甘んじざるを得なかった。

日米共同開発になると開発や運用の自由度が、大幅に制約される。日本側の開発の意向も、軍事機密を理由に米国側が情報の提供を拒めば自力で開発せざるを得ない。開発スケジュールの大幅な遅れや「ブラックボックス」化された米国製部品の提供に頼る事態も想定される。

戦闘機は配備が始まってから、優に30―40年間使用される。実際に戦闘機「F4」は40年以上使用され、81年に配備が始まった同「F15」もいまだ現役だ。30年たてば搭載するミサイルやレーダーの性能も格段に進歩する。

30年代半ばに配備が始まる次期戦闘機の場合、レーザー兵器や無人機を搭載する構想もある。スタンド・オフ・ミサイルの空対艦型も要求される可能性が高い。

140機強が配備予定の「F35」

新型兵器の搭載には重量バランス、空気抵抗、ステルス性、搭載スペースなどに影響が生じないか十分な精査が必要だ。国産機は柔軟性が高いが、共同開発機では米国側の承認で装着が遅れる可能性もある。緊急即応事態にも対応が難しい。

次期戦闘機は配備までに総額5兆円を超す事業規模になるとの見方もあり、熱処理や新素材など関連産業への波及効果も考えれば恩恵は大きい。ロッキードなど外国企業が参画する中で、日本側が技術面と開発とりまとめで“主体性”をどれだけ発揮できるかが条件になる。

日刊工業新聞2020年12月18日

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