「2050年までにCO2排出ゼロ」掲げるイオン、幹部が菅首相へ訴えた要望とは?

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壁面にも太陽光パネルを取り付けたイオンモール座間

イオンが2050年までに店舗の営業に伴う二酸化炭素(CO2)排出をゼロにすると発表した18年3月当時、脱炭素目標を掲げる企業は数社だった。2年半が経過した現在、脱炭素目標を公表する企業が増えている。CO2排出ゼロへの機運の高まりを受け「みんなで声を上げていくことが大切」と実感を持って語るイオンの三宅香執行役に、同社の取り組みや課題、政府への要望を聞いた。

―菅義偉首相の「50年ゼロ」宣言の受け止めは。

「宣言はまだ先と想定していたので、うれしかった。菅首相は世界と国内の動きを見て決断したのだと思う。宣言後、脱炭素に向けた世の中の空気がガラッと変わった。50年ゼロの実現に向け、中期目標の『30年度13年度比26%減』も引き上げてほしい」

―三宅執行役が共同代表を務める企業グループ「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」は30年の再生エネ比率50%(政府見通しは22―24%)を国に提言しています。

「ルール変更や規制緩和によって最大限、導入できる再生エネ量を検討してほしい。再生エネ電気を優先的に電力系統に接続するなど、現状でもやれることをやれば50%に届くと私たちは考えている」

―イオンの再生エネ100%達成への進捗(しんちょく)は。

「グループ1000店に太陽光パネルを取り付けた。初期投資なしで導入できるPPA(第三者所有)形態も活用して設置店舗を拡大していくが、全店舗の電気を賄えない。敷地外の太陽光発電所から電気を調達するオフサイトPPAも視野に入れたい。規制が変わるだけで再生エネを安価に調達できるようになる」

「私たちはお客さまから商品の要望をもらう。同じように電気を使う需要家も、グリーンな電気をほしいと発信することが大切だ。また企業は、投資家からESG(環境・社会・企業統治)が求められている。ステークホルダーからの期待に応えるためにもグリーンな電気が必要だ」

三宅香氏

―21年以降の取り組みは。

「商品を納入してくれる取引先と一緒に活動したい。イオンだけが評価されてもダメで、サプライチェーンと連携して取り組む。菅首相の50年ゼロ宣言で確実に次のフェーズになった」

―気候変動対策の経営への影響は。

「感染症流行の影響を受けた事業もあるが、株価は絶好調。ESGを重視する機関投資家の株式保有が増えている。機関投資家に聞いたわけではないが、気候変動対策が評価され、安心して株式を購入してもらえている可能性がある」

【記者の目/第2フェーズに期待】 イオンの吉田昭夫社長が河野太郎行政改革担当相に会い、再生エネ拡大への規制緩和を訴えた。経営者が直接、政府に要望するほど気候変動は大きな課題となった。脱炭素目標を掲げる企業が増えており、より多くの声を政府に届ける環境ができた。次はどう取引先と連携し、どのように大きな声にしていくのか。イオンの第2フェーズに期待だ。(編集委員・松木喬)

日刊工業新聞2020年12月18日

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

17日、三宅さんが官邸で菅首相に、中小企業が取り残されないように再生エネ比率を上げてほしいと訴えました。社会に再生エネが増えれば、しぜんと中小企業も入手しやすくなるからです。再生エネ導入を訴え続けてきた企業グループ・JCLPが、官邸で発言できる時代になったと思うと、感慨深いかったです。 紙面やニュースッチで取り上げてほしいSDGsテーマはありませんか。希望があればニュースイッチの問い合わせまで。

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