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廃棄処分の親鶏を認知機能改善サプリに!丸大食品がムネ肉から抽出

丸大食品は2020年度の廃鶏(排卵期間を終え通常は廃棄処分される親鶏)の仕入れを18年度比で約5倍の数十トンに増大する。親鶏のムネ肉から抽出される「プラズマローゲン」に認知機能を改善・維持する効果があるとされ、その粉末やエキスを活用した健康関連食品の需要が増大している。廃鶏の調達を増やしてプラズマローゲンの販売拡大につなげる。

丸大食品は「プラズマローゲン」の素材を販売している。甲南化工(大阪府高槻市)にエキスを、ヤマサン(東京都豊島区)に粉末をそれぞれ製造委託し、丸大食品が約20社のサプリメント(栄養補助食品)や錠剤の製造会社へ供給している。

粉末は顆粒(かりゅう)にし、コーヒーに入れる砂糖や頭痛薬などの錠剤に、エキスはカプセルのサプリメントとしてそれぞれ消費者に提供されている。

07年から農林水産省などと研究を重ねてきた。「産卵期間が終わった親鶏の肉質が硬く、精肉への利用が限定的で何か有効活用できないかと依頼を受けた」(丸大食品中央研究所の琴浦聡課長)のがきっかけという。

当時は年間で約1億羽が廃鶏として処分されていた。同社は鶏の廃棄処分を減らし、循環型社会を構築するとともに、高齢者の認知機能の改善を目指す。

「プラズマローゲン」は、細胞膜の成分として知られているリン脂質の一種で、脳内に多く含まれる。一般的に加齢とともに減少し、アルツハイマー病患者にも同様の現象が見られる。

同社独自の研究で、健常者の50―79歳以上を対象に「プラズマローゲン」の接種を1日当たり約1ミリグラム、12週間継続したところ、60歳以上の被験者に、プラズマローゲンの増加と、言語記憶力の向上が見られたという。16年には機能性表示食品の認証も受けた。

日刊工業新聞2020年12月17日

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