新開発の長距離ミサイル、射程数百kmでも国産にこだわる理由
自民党国防部会で、敵ミサイルの射程圏外から攻撃が可能な長射程巡航ミサイル(スタンド・オフ・ミサイル)の開発費用として335億円を2021年度予算に要求することを説明した防衛省。陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の代替案で新型イージス艦2隻を建造する方針も説明し、いずれも了承された。18日に閣議決定される見通し。
新開発するスタンド・オフ・ミサイルは、国産で開発中の「12式地対艦誘導弾」の改良版。百数十キロメートルの射程を数百キロメートルに伸ばせる技術的めどが立ったとし、開発期間は5年を想定する。
米国やノルウェーなど外国製のミサイルは射程が約500キロ―900キロメートル。輸入品だと航空自衛隊の「F2」戦闘機などに搭載する際、自由度が狭まるが、国産品ならこの制約を解消できる。
21年度の地対艦型に次いで新たに艦対艦、空対艦などのミサイルも続いて開発、ファミリー化を図り、中国への抑止力とする考えだ。
新造イージス艦は最新の「まや型」をベースにやや大型化し、北朝鮮の弾道ミサイル以外に中国の巡航ミサイルや航空脅威にも対応できるよう「SM―6」システムの機能も搭載する。2隻の合計額は5000億円強が見込まれるほか、海上自衛隊の人員不足も課題となる。
人員不足については、海自の定年1年延長によって約1000人を確保するほか、「くまの」など新型護衛艦の省人化技術、無人水上航走体(USV)の活用を進める方針だ。