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「シルフィ」販売終了。日産が車種絞り込みで業績立て直しへ

「シルフィ」販売終了。日産が車種絞り込みで業績立て直しへ

構造改革で業績立て直しを目指す日産(内田誠社長)

日産自動車は日本と米国で販売車種を絞り込む。日本ではセダン「シルフィ」の生産をこのほど終了し、在庫がなくなり次第販売を取りやめる。米国やメキシコでは2021年夏までに商用バン3車種の生産を終える。採算性の低い商品群を減らし、事業の選択と集中を進める構造改革の一環。主力車種の開発や生産に経営資源を投入し、業績の立て直しを急ぐ。

シルフィの19年販売台数は前年比2割減の約1800台。国内のセダン人気低迷もあり販売規模も縮小していた。追浜工場(神奈川県横須賀市)での生産を終え、販売は店舗での在庫がなくなるまでとなる。シルフィの販売終了で国内で展開するセダンは「スカイライン」など高級車のみとなる。国内ではこれまでにセダン「ティアナ」など3車種の生産を終えていた。

米国で販売する商用車では、米国キャントン工場で商用バン「NVカーゴ」や「NVパッセンジャー」、メキシコのクエルナバカ工場で「NV200」の生産をそれぞれ21年夏に終える。19年の米国販売はNVシリーズが同2割増の2万台強、NV200シリーズが前年並みの2万台弱だが、販売台数が年130万台を超える米国では販売規模は小さかった。車種の絞り込みで北米での生産効率化にもつなげる。

ただ、米国での商用車事業は続ける。最小2台の購入から融資プログラムを活用できる商用車利用者向けの新たなサービスを全販売店で提供するなど、テコ入れもする。

日産は5月に事業の選択と集中を進める23年度までの中期経営計画を策定。世界で商品ラインアップを18年度比2割削減する方針を示している。一方、21年までに世界で12の新型車を投入して商品力を高める計画で、日本では23日に人気の小型車「ノート」を全面改良して発売する。コアモデルに経営資源を集めて販売を回復し、業績の立て直しを図る。

「シルフィ」
日刊工業新聞2020年12月9日

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