需要回復を待つ軸受大手、コロナ後へに向けて体質改善

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NTNの大型産業機械用軸受

軸受各社が収益体質の改善に力を注いでいる。新型コロナウイルスの感染再拡大など先行きの不透明感が晴れない中、足元で進む需要回復を取り込みつつ、2021年3月期の営業黒字確保や赤字幅圧縮を目指す。コロナ前の状態に戻ると期待される22年3月期の前半まで、収益力の再構築などで「ポストコロナへ向けた体質改善を一歩一歩進めたい」(市井明俊日本精工執行役専務)と前を向く。

日本精工の20年4―9月期連結決算(国際会計基準)は、営業損益が106億円の赤字(前年同期は157億円の黒字)だった。産業機械事業の営業損益は12億円の黒字を確保したが、自動車事業は141億円の赤字だった。

ただ、米州や欧州は5月以降回復基調にあり、日本も4―9月期全体で前年同期の8割程度まで回復。新型コロナ再拡大の不安要素はあるが、市井専務は「(21年3月期の)通期黒字にこだわる。下期は上期の赤字をカバーする」と意気込む。営業損益は産業機械事業で60億円の黒字、自動車事業で35億円の赤字と予想する。

ジェイテクトは20年4―9月期(国際会計基準)の軸受事業が大幅減収。コロナ禍で顧客の工場稼働が低下し、特に4―6月期の売上高は前年同期比42・4%減の558億円まで落ちた。4―9月期の事業損益は前年同期の6億円の黒字から92億円の赤字に転落した。

自動車ステアリング・駆動系部品、工作機械を含む全社の21年3月期の事業損失は200億円の見通しだが、原価低減強化や設備投資の延期で圧縮する意向。軸受事業でも構造改革に「手応えがある」(佐藤和弘社長)とし、さらに収支改善を目指す。

NTNの20年4―9月期は日米欧で自動車、産業機械、補修市場の販売が減少し、営業赤字だった。9月に前年同月比17%増の水準まで回復した中国のほか欧米も足元は販売が持ち直しており、自動車向けを中心とする需要回復に期待する。

ただ、21年3月期見通しは上方修正したものの、新型コロナの不安要素も残るため4―9月期の回復分しか反映しなかった。今後の需要回復にも「規模が増える時に固定費をどれだけ抑えて対応できるか」(大久保博司社長)と慎重な姿勢を崩さない。

世界各地で新型コロナの沈静化が見通せない中、各社は原価低減や固定費抑制といった収益体質の強化策を積み上げて、本格的な需要回復期を待つ。

日刊工業新聞2020年12月8日

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