「超熟」が売れ続ける敷島製パンの時代を読む力

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敷島製パン公式サイトより

「Pasco(パスコ)」ブランドで知られる敷島製パン(名古屋市東区)は、今年で創業100周年を迎えた。設立の発端は1918年(大7)のコメ騒動。コメ不足に苦しむ消費者を目にした創業者の盛田善平は「パンはコメの代用食になりうる」と確信。民衆の苦しみを救うため、同社を立ち上げた。

100周年のスローガンは「いつの時代も、社会とともに」。盛田の社会貢献を重んじる思想がベースになっている。顧客の声に耳を傾けた商品開発が強みだ。戦後は国民の栄養不足を解決するために栄養価の高いパンを開発。関西地方へ販売網を拡大する際も地域の好みに合わせた食パンで支持を集めた。

代表的な商品である食パン「超熟」。湯種製法によるもちもちとした食感が特徴の定番商品だ。発売当時の販売手法はかなり斬新(ざんしん)だった。食品包装としてはまだ珍しい青色を採用。売り場ではピラミッド型に積み上げてアピールし、その名を一躍有名にした。発売から22年たった今も改良を続け、飽きの来ないおいしさで人気を得ている。

こうした歴史や特色を持つ同社が新たな課題に挑戦している。国産小麦を使用したパンの生産だ。世界的な穀物不足に危機感を抱いた盛田淳夫社長は2008年から国産小麦の研究を推進。現在、約30種類のパンを国産小麦シリーズとして販売している。小麦農家や国との連携を進め、パン用小麦の安定的な供給体制を構築するのが課題だ。

食品ロスや労働力不足に対応した商品開発にも力を入れる。17年には「焼成後冷凍パン」を発売。「事業は社会に貢献するところがあればこそ発展する」。創業者の思いは挑戦を続ける同社に脈々と受け継がれている。

超熟をピラミッド型に積み上げたプロモーション
【企業メモ】敷島製パンはパン、菓子、冷凍食品の事業のほか、中国やインドネシアなど海外にも展開している。社名の「敷島」は創業者の盛田善平が崇拝していた本居宣長の和歌「敷島の大和心を人問はば朝日に匂う山桜花」から採られた。

日刊工業新聞2020年11月30日

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