「失われたものを取り戻す」ドコモの“人”に焦点をあてた5G活用

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スマートグラスの活用で意思疎通を改善

意思疎通しやすい工場

【意欲引き出す】

「(業務の)リモート化で得るものもあれば、逆に失うものもある。例えば、膝を突き合わせて話し合うような、空間を共有する感覚だ。第5世代通信(5G)をはじめとした技術で、失われたものを取り戻す」―。NTTドコモの佐藤隆明執行役員は「スマート・スマイル・ファクトリー(SSF)」の意義をこう説明する。

ドコモと北菱電興(金沢市)、金沢工業大学は12日、SSFを開設した。電子機器製造を手がける北菱電興の、いなほ工場(同)にドコモの5Gエリアを整備。生産効率化や従業員のモチベーション向上につながる機能を設ける。

【遠隔MR会議】

いなほ工場はプリント基板の実装から組み立て、検査、出荷までの一貫生産を手がけているが「多品種・小ロットに対応するため、作業の属人化が進んでコミュニケーションが希薄になっている」(北菱電興の田井仁理事)。こうした問題意識から“人”に焦点を当てたデジタル変革(DX)の必要性を感じ、SSFの構想につながったという。

意思疎通の改善に役立ちそうなSSFの機能が、複合現実(MR)技術を取り入れた「遠隔MR会議」だ。ドコモのスマートグラス「マジックリープワン」を用い、離れた事務所にいる同僚とも「対面で一緒に製品を見ているような感覚でのコミュニケーションを実現する」(田井理事)。

マジックリープワンは、近距離無線通信のWi―Fi(ワイファイ)を介して5Gに接続する。4Gを活用することも可能だが、「将来、マジックリープがもっと増えていくような状況になると、容量的には足りないところもある」(ドコモの佐藤執行役員)。

【やりがい解析】

北菱電興は金沢工業大との共同研究を通じ、従業員の意欲の向上も図る。既に工場内のデータから意欲の変化を把握できている部分があるとしており、2021年には生産性とやりがいの解析や評価を進める計画だ。どのような取り組みが業務効率改善と従業員満足の両立につながるのか―。仮説検証を迅速に繰り返せるかが問われる。(斎藤弘和)

日刊工業新聞2020年11月25日

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