海外ベンチャーとのタッグで米国に攻勢、大日本住友製薬の戦略とは

  • 0
  • 2
ロイバントと協業し、デジタル技術の活用を進める(イメージ)

大型候補薬で特許切れ克服

大日本住友製薬は創薬ベンチャーのロイバント・サイエンシズ(英・スイス)との提携から2年目を迎えた。同社から取得した子会社の開発品は、ピーク時に年間売上高1000億円を超える大型薬「ブロックバスター」を目指す候補薬が含まれる。大日本住友製薬は最大の医薬品市場である米国に攻勢をかける。海外事業推進担当の西中重行常務執行役員に戦略を聞いた。(大阪・中野恵美子)

―提携の狙いと今後の見通しは。

「当社の主力品である非定型抗精神病薬『ラツーダ』の米国での特許切れを乗り越える必要がある。縁あってロイバントと良いタイミングで提携できた。期待の高い開発品について2020―21年の製造販売承認を見込んでいる。発売から数年間は販売費用がかさむが、十分な収益を確保できるとみている」

―子会社の開発品が期待されます。

「子会社化した米マイオバント・サイエンシズによる子宮筋腫や前立腺がんなどを適応症とした『レルゴリクス』、同ユーロバント・サイエンシズによる過活動膀胱(ぼうこう)向けの『ビベグロン』はブロックバスター候補だ。臨床試験の結果は想定通りか、またはそれ以上の手応えを得ている」

―デジタル技術の活用も進めています。

「ロイバントは人工知能(AI)やデジタルを駆使した医薬品開発を重要視してきた。他社の開示情報を分析して、例えば優先度が低下している有望な開発品を比較的安価に自社へ導入する。設立から数年で大型候補薬をそろえた実力には目を見張る。当社は市場調査や営業の効率化に加えて、臨床試験の効率化やコスト低減につなげる。データ活用のハードルは一気に下がってきた。これから成果を出していきたい」

―さらなる投資や提携の方向性は。

「投資枠は当社の損益状況や、研究開発への継続投資とのバランスに配慮しなければならない。一方、米国への投資が中心となっているので、日本で当社が強みを持つ糖尿病領域などシナジーを創出できる案件を探っている。また、自社単独では限界のある医薬品開発も他社と共同開発することでリスクを抑えつつ収益を伸ばす可能性が出てくる。こうした提携にも挑戦を続けていく」

大日本住友製薬常務執行役員・西中重行氏(大日本住友製薬提供)
【チェックポイント/提携効果最大化へ下地】

売上高の約4割を占めるラツーダが23年ごろに特許切れを迎える。ポスト・ラツーダとして期待の高い開発中の抗がん剤「ナパブカシン」に加え、新たな成長ドライバーの確立が欠かせない。ロイバントとの提携は開発品の拡充にとどまらず「独自のデジタル技術や人材を取り込める」(西中常務執行役員)と意義を説く。提携時には社内にデジタル基盤を活用する部門や人材を確保した。グローバルで提携効果の最大化に向けた下地をつくる。

日刊工業新聞2020年11月24日

関連する記事はこちら

特集