製薬各社の認知症ソリューション開発で加速する外部連携

デジタル機器を通じて視・聴覚刺激

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Aikomiが開発した認知症の非薬物療法のためのソフトウエア(プロトタイプ版)

製薬各社が認知症ソリューションの開発に、外部との提携を加速している。新型コロナウイルスの感染拡大が続く一方、国内の高齢化は進行しており、対策は待ったなしだ。政府によると、2012年は認知症高齢者数が462万人と65歳以上の約7人に1人であったが、25年には同約5人に1人となる見通しだ。有効な治療法が模索される中、アンメットメディカルニーズ(未充足の医療ニーズ)は高い。(大阪・中野恵美子)

「外部のテクノロジーと組み合わせ、認知症ケアの改善につなげたい」と方針を述べるのは、大日本住友製薬の野村博社長。同社は医薬品以外のヘルスケア領域を立ち上げ、オープンイノベーションを活性化している。「精神・神経領域を中心に、33年には1000億円規模に育てる」と目標を掲げる。

その一環で期待が高いのがAikomi(神奈川県藤沢市)との共同事業だ。デジタル機器を通じ、患者に視覚や聴覚などの感覚刺激を与えることで、不安や攻撃性など症状緩和を見込む。認知症患者の自立を補助するほか、介護負担の軽減にもつなげる。

塩野義製薬は認知機能改善薬の開発候補品「BPN14770」を手がける米テトラ・セラピューティクス(ミシガン州)への出資比率を従来の30%台から50%まで引き上げた。同開発候補品は、記憶形成に関わる細胞内酵素の活性を調節し、嘔吐(おうと)など副作用を回避しつつ認知機能を改善する。

塩野義は18年に3500万ドル(約37億円)を投じてテトラに資本参加した。テトラの有する中枢神経系の創薬ノウハウを研究開発に応用する。

ジェネリック業界でも、認知症ケアをテーマに協業が進む。認知症予防に医学的根拠の構築を目指すのは、東和薬品だ。同社は国立循環器病研究センターと植物由来成分「タキシフォリン」の認知症予防効果に関する共同研究を始めた。動物実験では、同成分の投与で認知機能の回復が報告されたが、ヒトへの認知症予防効果を調査する。同社は成果をもとに健康食品やサプリメントの開発を進める。

共和薬品工業(大阪市北区)は、人工知能(AI)を活用した認知症診断支援システムの実用化を目指している。FRONTEOと提携し、患者と医師の会話から認知機能障害の有無などを判定するシステムについて、医療機関向けに販売する。角田礼昭社長は「中枢神経系領域のノウハウを基軸に、外部の専門性を幅広く取り入れたい」と狙いを定める。

日刊工業新聞2020年4月16日

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