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「TOEIC」オンライン受験、AI導入で不正防止。他の試験でも広まるか

日本でTOEICを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(東京都千代田区、大橋圭造理事長)は18日、企業・学校など団体向けの、インターネット上で受験するTOEIC Listening &Reading IPテストおよびTOEIC Bridge Listening & Reading IPテストについて、人工知能(AI)による試験監視サービス「AI監視サービス(仮称)」の開発を進めており、2021年3月にサービスを始めると発表した。

新型コロナウイルスの感染拡大で大人数が参加する集会やイベントなどが自粛されているが、受験や資格試験なども同様の問題を抱えている。オンラインでの代替が求められているものの、不正防止をどうするかが課題だった。TOEICがAI監視サービスを始めることで、ほかの試験でも広まりそうだ。

このサービスは、Webカメラで撮影した試験中の受験者動画をAIが解析し、不正の可能性が高い行動を検知する。検知結果は団体の担当者にフィードバックされる。また、同サービスには資格・検定試験各種ソリューションの提供を行うイー・コミュニケーションズ(東京都港区)が開発した、AI解析エンジンを使ったオンライン試験不正監視サービス「Remote Testing AIアナリスト」が利用されている。

受験前に本人の顔と本人確認書類を撮影した後、試験中の受験者の様子を動画で記録し、動画から【受験者の入れ替わり】【複数人の映り込み】【不正の可能性が高い目線の動き】などをAIが解析。団体の担当者はWebの管理画面で、解析結果および録画動画を確認できる。

サービスの利用者は、リアルタイムで人がモニタリングを行う「リモート試験官サービス」とあわせて、実施の規模や状況に応じた選択をすることも可能だ。

テレワークの推進やオンライン授業の導入により、企業や学校などの団体内での研修やテスト実施方法は多様化するなか、同協会は4月からオンライン方式のIPテストの提供を開始し、これまでに約1,100の企業・学校が活用してきた。オンラインでの試験実施は「本人確認」や「不正行為の防止」が課題となっており、7月末からは「リモート試験官サービス」も導入した。

一方で、遠隔で人による試験監督を行う場合、受験者たちは所属する団体が定めた試験の開始時間に合わせて一斉受験する必要があった。そこで、AIによる不正解析を行うサービスの開発に着手。受験中の様子を録画したデータをAIが事後解析するため、テスト・セキュリティを向上させながらも、1人1人の最適な時間に合わせたテスト実施が可能となる。

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