【開催中】JIMTOFオンラインで分かる加速するモノづくりの自動化
主要工作機械メーカーが、自動化の“進化”を支える技術の製品化を加速している。16日に開幕した日本国際工作機械見本市(JIMTOF)のオンライン版「JIMTOF2020オンライン」では、人工知能(AI)やロボットを組み込んだ機械やシステムの新製品を披露。工作機械の一層の知能化を支える技術により、モノづくり現場での自動化の動きがさらに加速しそうだ。(特別取材班)
DMG森精機は切削加工で発生する切りくずをAIで自動除去するシステム「AIチップリムーバル」を出展した。高性能カメラで撮影した画像を基に、AIが切りくずの位置と量を判別。最適な洗浄経路を生成し、効率的に除去する。工作機械では切りくずが原因となる機械停止や加工不良が課題となっている。森雅彦社長は「自動化される機械の長時間運転が可能になる」と効果を強調する。
ジェイテクトはモノづくりを高度化する独自の要素技術群「TAKTICA(タクティカ)」の新技術搭載機を披露。熟練技能者に代わる加工条件設定の自動化も提案した。従来製品を超えるための技術「タクティカ・ビヨンド」の一つ「ギアシェイドディスカバリー」もギアスカイビングセンター「GS200H」に搭載し出展。加工形状から補正値を入力し精度を向上する技術で、歯車の歯面形状を自在に制御し、騒音・振動を低減し伝達効率を高められる。
オークマは自動化への提案として、工作機械に内蔵する次世代型ロボットシステム「ARMROID(アームロイド)」を搭載した小型複合加工機「MULTUS(マルタス)B250II」を出展。JIMTOF2018で披露したコンピューター数値制御(CNC)旋盤に次ぐ搭載機第2弾だ。同機は19年9月の欧州国際工作機械見本市「EMOハノーバー2019」に参考出品。「今後も対応機種を増やす」(開発責任者)とし、今回の出展でユーザーの声をさらに集める考えだ。
ファナックも工作機械とロボットを組み合わせるシステム「CNC―QSSR」の機能を拡充。パソコン上でロボットの経路を自動生成する機能を出展した。ロボットの動作開始点と終了点を指定するだけで、加工対象物(ワーク)や治具が軌道上にあっても、これらを避けてロボットの動作経路を生成する。
山口賢治社長は「加工現場に工作機械とロボットを組み合わせる要望が強くなっている」とニーズの高まりを指摘した上で「工作機械ユーザーはロボットに不慣れなこともあるため、導入の敷居を下げる」と新機能の目的を解説する。
アマダは、プロファイル研削盤「GLS―150GLUP」と協働ロボットによる自動化を提案。砥石(といし)とワークを自動で交換でき、夜間の連続自動運転が可能になる。磯部任社長は「アフターコロナの世界では、モノづくりの自動化はかなり進む」と捉える。