工作機械業界はDXでどう変わる?オークマ社長「デジタル技術で常に顧客のそばに」

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7月1日にはDX専任部署を作る(オークマ公式サイトより=写真イメージ)

設備投資への意欲が新型コロナウイルス感染拡大によって冷え込んでいる。日本工作機械工業会(日工会)がまとめた5月の工作機械受注実績(確報値)は512億3900万円で前年同月比52・8%減。商機と期待した大型展示会も軒並み中止に追い込まれた。そうした中、デジタル技術を活用した納入前の製品確認(立ち会い)や販売促進が動きだした。工作機械メーカーはどう変わるのか。オークマの家城淳社長に聞いた。

―新型コロナにどう対応していますか。
「日本では希望する顧客については入念な対応をした上で来社していただくようになったが、基本は立ち会いや営業もデジタル技術により遠隔で行っている。客先の加工対象物(ワーク)別の加工時間やコストの見積もり、テストカットも訪問なし。効率化のため以前から必要と思っていたが、新型コロナに背中を押された」

―リアルな立ち会いとデジタル技術を使った遠隔対応の違いは。
「機械が目前にあれば、すぐ分かってもらえる。遠隔では確認ポイントを厳密に整理するようになり、準備に時間がかかる。効率化が課題で、製造・技術から新たに営業に担当が移り、社内ルールも作成中だ。一方、遠方の顧客にデジタル対応は効果的。リアルでは“なあなあ”の部分もあった。今後はリアルとデジタルの併用でより良い形にしたい」

―デジタル変革(DX)で顧客との関係はどう変わりますか。
「最高のモノづくりサービスには生産現場をよく知ることが不可欠。デジタル技術で、常に顧客のそばにいられるようになる。相談に応じ、要望に応え、より精緻なデータを蓄積し、次の開発に生かす。生産性を大きく上げた顧客もあり、米国やアジアでも進める。今後は遠隔サービスを提供できるメーカーだけが成長できる。新型コロナ収束後も後戻りはない。7月1日には専任部署もつくる」

―日本国際工作機械見本市(JIMTOF)や米シカゴの国際製造技術展(IMTS)が中止です。
「デジタルでしっかり新技術を見てもらい、営業担当と意見交換をしてもらう工夫をする。当社の工場『ドリームサイト』はモノづくりの見本。デジタルで『工場を見たい』と思ってもらえる流れを作る。各拠点で人数を絞る小規模なリアルの展示会も検討する」

家城淳社長

【記者の目】
受注は激減しているが、工作機械メーカーの経営者からは前向きな発言が多い。世界の生産現場が自動化、高度化を求め、デジタル技術や通信環境の進化により工作機械が果たせる役割もさらに大きくなると考えているからだろう。新型コロナ禍で、経営者たちは変革への覚悟を新たにしている。

(名古屋編集委員・村国哲也)

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日刊工業新聞2020年6月29日

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