0・2秒で瞬時に処理。富士通が3次元CADの部品数を3倍の300万点に強化
富士通は、超大規模データを高速処理する機械装置向け3次元CADソフト「コルミナ設計製造支援iCAD SX」の最新版を月内に発売する。3次元CADで扱える部品数を従来比3倍の300万点に拡張し、設計者が指定した結果を0・2秒で瞬時に処理できる。メモリーアクセス処理の改善などにより、設計から製造・保守に至る各部門の情報共有を一つの3次元データ上で実現。ニューノーマル(新常態)時代のモノづくり革新で先駆ける。
10年ぶりに大幅な機能拡張を図るとともに、3次元CADの活用を上流工程に留まらず、製造や保守サポートにも広げた。価格は138万円から(消費税抜き)。2021年度中に2万ライセンス(使用許諾権)の販売を目指す。
製造や保守サービス工程では、事前に組み立てや消耗部品の交換手順を3次元データで検討できるため、リードタイムの短縮が図れる。上流工程では、設計の際に注意書きとして示すメモや、設計者の記憶に留めていた3次元装置モデルの動きの順序、タイミングなどの動作情報を、設計初期から3次元データへの直接入力が可能。
蓄積した3次元データをそのまま活用することで、実機が完成していない状態でも制御設計のデバッグ(誤り見直し)ができる。設計時で品質を作り込むとともに、トラブル発生時の原因特定も短期間で行える。
設計の早い段階から確定する加工条件や組み立て指示などの製造情報を、決めたタイミングで蓄積し活用する機能も追加。これにより3次元装置モデルと加工情報を活用した部品のコスト計算に加え、部品間の表面粗さや、はめ合い公差(軸と穴のはまり具合の度合いを示す数値)の整合性を確認する3D検図を実現した。
工場レイアウトの丸ごと設計への対応により、海外工場での組み立て作業の支援もきめ細かく対応することが可能。コロナ禍で出張が制限される中で、海外へ渡航することなく、3次元データの組み立て手順を確認しながら、機械の組み立て作業をリモート指示するなど、ニューノーマル時代のモノづくりを先導する。