富士通研が量子計算機の実用化急ぐ、理研・東大・阪大などと共同研究

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富士通研究所は量子計算機の実現に向け、量子デバイスから制御装置、アーキテクチャー(設計概念)、アルゴリズムに至るすべての技術階層で国内外の研究機関とのオープンイノベーションに乗り出す。富士通研究所の原裕貴社長が13日の会見で、理化学研究所、東京大学、大阪大学、オランダのデルフト工科大学と、それぞれの得意領域で共同研究を始めると表明した。量子ビットに生じる誤りを自動補正する「誤り耐性」機能を備えた「ゲート方式」の量子計算機の早期実用化を目指す。

富士通研は理研と東大とは、超伝導方式の量子計算機の共同研究を行う。超伝導方式でまず100量子ビット級に向けて研究開発する。

デルフト工科大とは「スピン量子ビット」を利用した量子計算機の基礎研究に取り組む。ダイヤモンドに不純物原子を注入し、スピン状態を利用した量子ビットを形成する。量子ビットの状態に光でアクセスでき、大規模化に向いているうえ、比較的高温でも量子状態を保て、冷却部を小型化できるという。

阪大とは量子アルゴリズムの研究開発を行う。誤り耐性をもつ量子計算機の実現に必要となるエラー訂正技術の研究に取り組む。

これらに先駆けて、カナダのクオンタム・ベンチマークとも共同研究に着手した。

量子計算機では性能向上のため(1)量子ビット数の増加(2)量子ビット情報を保持可能な時間(コヒーレント時間)の向上(3)制御装置の改善(4)革新的なソフトウエア―などが求められている。

富士通研は全技術階層の研究を通じ、量子計算技術を創薬や材料、金融分野に加え、現行の計算機は解決できない社会的課題の解決にも役立てる。

日刊工業新聞2020年10月14日

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