車いすに座ったまま筋トレできる「こいじゃる!」、高齢者に離床機会の増加に

車いす着脱式足こぎユニットー利用者、座ったまま使用

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年内にも発売予定の改良版「こいじゃる!」

AKシステム(大分県由布市、藤野敏哉社長)は、半導体関連など各種自動省力化装置の製造を手がける。大分県と宮崎県が進める「東九州メディカルバレー構想」に参画し、病院や大学とのマッチングを重ねる中で医療関連機器市場への参入を模索してきた。2018年に製品化した「こいじゃる!」も、この過程で生まれた。

運動機会増やす

「こいじゃる!」は使っている車いすに着脱する足こぎユニット。座った人が自転車のようなペダルを踏めば車いすを動かせる。歩行が困難な高齢者らが車いすを利用するようになると足を使う機会が減る。その結果、筋力が衰えることが課題となっていた。このため「離床機会を増やし、運動する場面を増やしたい」という医療現場のニーズを受けて開発された。

最大の特徴は利用者が車いすに座ったまま使え、後付けできることだ。すでに車いすとペダルが一体化した製品は市場にあったが、介助者が利用者を抱え上げるなどして座らせる必要があった。

同製品は左右いずれかの半身が不自由な人も想定している。そのためペダルを軽めに設定しており、片足だけでも動かせる。スイッチを切り替えれば、止まったままでの足こぎ運動も可能だ。

ユニット部には赤い球を取り付けた1本軸のハンドルを取り付けた。車両の操作に不慣れな人でも介助者が「行きたい方に赤丸を向けてね」と伝えれば、多くの利用者がスムーズに操作できる。操作が容易なことから、製品化に携わった徳永英治企画開発室長は「利用者が楽しんで乗ってくれ、笑顔が増えたという声をいただいている」と話す。

開発では車いすが明確な製品規格がなく、多種多様な種類があるため、全車種に対応できる足こぎペダルユニットを製品化するのに時間を要した。しかし後付けとしたことにより、現在では「バギータイプなどを除き、ほぼ全ての車いすに対応できるようになった」(徳永企画開発室長)のが強みだ。

負荷調整機能

自分で車いすを動かせる喜びが利用者を笑顔にさせる

完成前には試作品を病院関係者に試乗してもらうなどして数々の助言を得た。足を乗せやすいようにペダルを空回りする機構にしたことや、介助者が誘導できるようにハンドル部分を前後に動かせるようにしたのも助言を基にしたものだ。

発売後も医療現場からの意見を取り入れ、年内にも改良版を投入する。負荷を軽めに設定していたペダルについては「トレーニングする場合には物足りない人もいる」という声があり、負荷調整機能を取り付けた。

これまでに大分県を中心に約20台を販売した。AKシステムは「こいじゃる!」以外にも医療関連製品の開発を進めており「電気機器などを得意とする当社が医療関連機器を開発できることを知ってもらい、参入の機会を増やしたい」(同)という。

「こいじゃる!」の名称には大分県の方言で“こいでやる!”という決意を込めた。製品名が示す姿勢をそのままに、医療関連機器市場に力強くこぎ出した。

日刊工業新聞2020年11月16日

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