3Dプリンターどう使う?製品開発のスピード向上+受託生産で活かす!
金型作らず、素早く部品試作・生産
アクルス(大阪府東大阪市、山内祐二社長、072・968・3800)は、車いす用の昇降機や農・水産業向け器具の製造・販売を手がける。水産業の陸上養殖いけす向け防菌・増酸素装置「バブリーン」を開発した際に、部品生産を目的として3Dプリンターを導入した。導入の狙いや活用方法について山内社長に聞いた。(大阪・錦織承平)
―3Dプリンター導入の経緯を教えて下さい。
「バブリーンは養殖用いけすに低濃度のオゾンとマイクロバブルを混合して送り、養殖魚の病気の原因となる細菌の増殖を抑え、水槽水中の溶存酸素量を補充する装置。設置や運用が容易で手軽に水質管理対策をしたい養殖事業者のニーズを狙った。ただ、こうした新製品は実績を積み、市場から認知されるまでに時間がかかる。顧客の声を聞いて設計を変更し、商品力を上げる事も必要だ。金型を作らず、素早く、小回りよく部品を試作・生産するため3Dプリンターの導入を決めた」
―社外からの受託生産にも応じています。
「さまざまな自社開発機器を展開する上で、素早い試作・改良と少量生産を社内で実現できるメリットは大きい。一方で、自社製品の部品生産が増えるまでは設備の稼働率を維持することが課題になる。そこで始めたのが部品の受託生産だ」
―受託生産では何を訴求していますか。
「3Dプリンターは中国インタムシス製で、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのスーパーエンジニアリングプラスチックを使った積層造形が可能だ。STL形式のデータファイルがあれば、すぐに見積もりや生産を始められる。稼働料金は1時間当たり1000―1500円(消費税抜き)と低めに設定してある」
―これまでの実績はいかがですか。
「医療機器や電子部品向け部品の生産実績がある。ほかにはスーパーエンプラの需要が見込める半導体製造装置向けなどにも提案している」
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