高炉のCO2削減国家プロジェクト、目標の10%超す見込み

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コース50の試験高炉(千葉県君津市の日本製鉄君津地区内)

日本製鉄など鉄鋼3社による国家技術開発プロジェクト「COURSE50(コース50)」で、試験高炉での水素還元による二酸化炭素(CO2)の排出量が、当面の削減目標である10%を超す見通しとなった。コークスの一部代替で、鉄鉱石の還元に使う水素の量を増やせば、さらに削減できるとみて政府に支援拡充を求めている。世界的に脱炭素の流れが進む中で、2030年度の実機第1号の稼働、将来の本格的な水素還元製鉄に向けて開発を加速しそうだ。

高炉を使う鉄鋼3社は現在、石炭を蒸し焼きにしたコークスで鉄鉱石を還元している。熱源を含む製銑・製鋼工程が、国内産業界でも有数のCO2発生源となっており、各社はかねてCO2の削減に取り組んでいる。

コース50は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの受託で、高炉で(1)還元剤に水素系ガスを一部活用してCO2を10%削減(2)排出CO2を、高効率に分離・回収し20%削減―で計30%削減を目標とする。

このうち水素還元の領域を日鉄の君津地区(千葉県君津市)に建てた容積12立方メートルの試験高炉で実証中。18年度に8%削減を達成したが、さらに現状では「10%を上回るCO2削減効果の感触が得られている」(日本製鉄技術開発本部の野村誠治フェロー)。

今回、10%以上のCO2削減のめどがたったことで、21年度からはプロジェクトの目標値を引き上げる見通しだ。経済産業省は21年度予算の概算要求に、他の開発案件を含めた「環境調和型プロセス技術開発」として45億円を盛り込んだ。

今後は、外部調達を含めて水素系ガスの使用量を増やすほか、設備をスケールアップしても水素の吸熱反応で奪われる熱を補償する技術の確立を目指す。炉内温度を維持するため、風量の調整や炭素系還元剤の投入量などを精緻にシミュレーションする検証を続ける。

「(高炉内で水素還元する)コース50の実機には、国内で流通している水素では足らず、価格も経済的ではない」(日鉄の宮本勝弘副社長)ため、国を挙げた水素供給網の整備が必要となる。

日刊工業新聞2020年11月13日

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