培ったノウハウがビジネスに! リコーが新事業部で中小企業のデジタル化支援
リコージャパンは、国内の中小製造業向けに、生産現場のデジタル化を促進するサービスを本格的に始めた。インダストリアル事業部内に「製造業ソリューション実践推進室」を今月新設し、リコー生産部門の40人が同事業部へ異動。生産現場の“プロ”が直接顧客企業に現場の課題を聞き出し、各社のニーズに応じた機器やサービスを提案する。社内実践で培ったデジタル化のノウハウをビジネスにつなげる。
リコージャパンは以前から、リコーが自社開発した無人搬送車(AGV)や作業支援カメラシステムを提供するなど、中小製造業の業務効率化を支援してきた。ただ従来は、国内製造業向けに開催した工場見学会でそれらの機器・サービスを紹介・提案するなど、商談ルートが限定的だった。また、あくまで顧客が既に認知した課題に対して提案を行っていた。それ故「ある程度現場の課題は分かっていても、整理しきれていない中小企業が多かった」(山田康裕インダストリアル事業部長)という。
こうした現状を踏まえ、今後は生産現場の“プロ”が顧客課題の洗い出しから携わり、より各顧客のニーズに応じた提案を進める。既に関東圏内では営業を開始しており、2021年4月以降に全国展開する。
さらに、既存サービス・機器の提供に加え、新たにリコーが自社開発したアプリケーション(応用ソフト)や機器、サービスを21年1月から順次発売する。先行商材として、21年度中に12種類のアプリなどを投入する予定。
例えば、安全巡視報告業務や日常点検業務、5Sレベル評価などで発生する帳票入力業務をデジタル化するアプリでは、現場作業員がスマートフォンで工場内を撮影するだけで、画像データを一覧化した報告書を自動で作成できる。従来、デジタルカメラで撮影した画像データを一度パソコンに移し替えて各業務の報告書などを作成する必要があり、手間がかかっていた。リコーインダストリー東北事業所(宮城県柴田町)では、同アプリの導入により、従来約3時間かかっていた安全巡視報告業務を10分まで削減した。