手術で切開した傷跡のミミズ腫れを防ぐシート、需要は海外にも

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長時間剥がれにくく、剥がす時に皮膚を傷めない「レディケア」

手術で切開した傷跡のミミズ腫れを防ぐシリコーンゲルシート「レディケア」。ギネマム(さいたま市南区、久保田秀一社長、048・711・5621)は、帝王切開用を皮切りに甲状腺や腹腔鏡(ふくくうきょう)手術の傷跡ケアに適応する新製品を相次いで開発した。長時間剥がれることなく密着し、剥がす時は傷めにくい適度な粘着性を実現する。電子商取引(EC)サイトでの拡販やアジアでの販路開拓を進め、国内外で普及を目指す。

【コラーゲン抑制】

ギネマムは2015年9月に創業。社名は産婦人科の「ギネ」、お母さんの「マム」から取ったもの。大手医薬品会社で営業担当だった久保田社長が訪問先の産婦人科医との会話で「産後1カ月後は傷跡はきれいなのに数カ月するとミミズ腫れやケロイドになる人がいる」と、話していたことが製品開発の構想につながった。

皮膚は傷ができるとその部位を修復するためにコラーゲンを生成するが、過剰に生成されるとミミズ腫れを起こす原因となる。そこでコラーゲン生成を抑制して傷の悪化を防ぐために開発したのがレディケアだ。

同社によると、実際に複数の施設で実施した臨床試験では、出産で1回目の帝王切開後にミミズ腫れとなったにもかかわらず、2回目にレディケアを約180日間貼った結果、傷跡は比較的目立たなくなった。臨床データによる裏付けが強みでもある。

甲状腺手術後の傷跡ケアにも対応する

【ECで拡販狙う】

帝王切開した女性の傷跡がミミズ腫れやケロイドになると、患者は皮膚科や形成外科に行くことが多い。そのため、この症状に患者が悩まされていることを産婦人科医が知るのは2人目の妊娠の時が多くなる。「1人目の出産から悩ませなくていいように」と久保田社長は全国の産婦人科を行脚した。16年の発売から2年半で成約率90%に達した。20年春までに69の大学病院、347の基幹病院、157のクリニックで採用されている。

目下のテーマはレディケアの拡販。国内はECサイトを通じたBツーC(対消費者)市場に力を注ぐ。新型コロナウイルスの感染拡大で医療施設への訪問自粛や、学会が軒並みオンライン開催となり医療従事者に商品デモンストレーションができない。

だが、オンライン化が加速する現状を好機と捉え、アマゾンや楽天市場、自社のECサイトでの販売を強化していく考えだ。

海外は現地企業と連携し、中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)などアジアでの販路開拓を加速する。香港では2月に販売を始めた。現在、中国やマレーシア、インドネシア、ベトナムで現地企業と販売契約に向けた商談を重ねている。今期中に海外販売の占める割合を全体の1割程度に引き上げる。

出生率が減少傾向にある日本では数年後に主力の帝王切開傷跡向け市場が縮小に転じるとみている。そこで久保田社長は「国内では切開を伴う手術を必要とする診療科への横展開を進め、論文など科学的根拠で効果を実証し、アジア展開を図っていく」としている。

日刊工業新聞2020年10月19日

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