離職を防ぐにはどうしたら?リコーが取り組んだのは「社内副業」

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社内副業で社内ベンチャーに携わることも可能。インド人女性用下着のブランド「ランゴリー」も社内ベンチャーの一つ

危機感から導入

社員本人と直属の上司、受け入れ先責任者の3者が合意すれば、就業時間の最大20%まで他部署での業務が認められる。そんな社内副業制度をリコーが始めたのは、2019年4月のことだ。

「キャリア形成をしたい社員の意思に応えられるような環境を作りたかった」。則友透組織人事グループリーダーは同制度導入の狙いについてこう話す。

同社が同制度の導入検討を始めたのは、18年度からという。業績不振から離職者が相次いだころだ。「特にキャリア意識の高い若手・中堅社員で離職する人が増えていた」(則友リーダー)。そんな危機感が背景にあった。

副業に至るプロセスには、社内副業人材を募った部署に社員が応募する「社内公募」だけでなく、社員自らが興味ある部署へ自ら働きかける場合など、さまざまなパターンがあるという。実施期間は原則6カ月以内で、副業の成果は人事評価にも反映される。現在はリコー本体の社員8000人のうち約200―300人の社員が利用している。

多様な形態

同制度では社員がやってみたい仕事に挑戦できるよう、多様な副業形態を用意した。則友リーダーは「社員起点で、緩やかな合意のもとでスタートできるようにした」と説明する。制度導入後の19年度の離職者数は、17年度比で半分以下に減少した。同制度を利用した社員からは「モチベーションやスキル向上に生かすことができている」との声もある。

社内の人材交流が活発になれば、新規事業の創出につながる可能性も生まれる。実際、「社内公募」で副業人材を募集する部署は、新規ビジネスの立ち上げで他部署の社員の意見を求めていることが多いという。主力の複合機事業が成熟を迎える中、新たな成長分野の創出に同制度を生かしたいという狙いも透けて見える。

両立に課題

一方で課題となるのは、社内副業での工数確保だ。本業が忙しくて副業時間を確保できなくなった場合、受け入れ先部署への影響も避けられない。社内で実施したアンケートでは、副業の工数時間について、同制度を利用した半数程度の社員が「10%以下」に留まると回答。本業と副業の両立が、かえって負担となりかねない。

ただ、コロナ禍によって在宅勤務が定着したため、副業を促しやすい環境になった。通勤にかかる時間がなくなったからだ。則友リーダーは「リモートでチャレンジできるメリットを生かせる可能性がある」と指摘する。

今後、国内グループの社員にも同制度の対象を広げることを検討する。グループ全体で若手の成長や、ベテランの活躍する場の拡大につながるよう、環境整備を加速していく。

キーワード
社内副業

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