1店舗の限界を超える!外食のライバル5社が共同で食品廃棄物をリサイクル

  • 0
  • 1
ニワトリを育てたサンエッグファーム親会社の三州食品で卵黄からマヨネーズ原料を製造

名古屋で取り組み 各店舗、買い戻し前提

外食のライバル5社が共同し、名古屋市内の店舗で発生する食品廃棄物をリサイクルする取り組みを始めた。農林水産省によると2017年度の外食産業の食品リサイクル率は43%となっており、食品製造業の96%に比べ低い。食品廃棄問題への社会からの関心が高まっており、5社の連携がリサイクル率向上の試金石となる。

共同リサイクルを始めた外食事業者は、ファミリーレストランを運営するセブン&アイ・フードシステムズ、うどん店のトリドールホールディングス、牛丼の松屋フーズ、長崎ちゃんぽんのリンガーハットジャパン、居酒屋のワタミの5社。名古屋市内で営業する5社の合計38店舗が参加する。

資源循環を啓発する公益財団法人のセーブ・アース・ファウンデーション(SEF、東京都大田区)が5社を取りまとめた。SEFの高部和幸氏は「集め方がポイントの一つ」と解説する。通常は各社が別々に調理くずや食べ残しを回収するトラックを手配する。5社共同だと、同じトラックが近隣の違う会社の店舗からも回収するため「トラック1台当たりの運用が効率化される」(高部氏)効果がある。

外食事業者にもメリットがある。廃棄量が少ない店舗だと費用の問題から、焼却する廃棄物処理に回しがちだからだ。他社との共同だと、少量の店舗も参加しやすくなる。

5社の取り組みでは「買い戻しが前提」(同)となっているのも特徴だ。各店舗から集めた廃棄食品は再生事業者の中部有機リサイクル(名古屋市守山区)で鶏のエサに加工される。そのエサをサンエッグファーム(愛知県岡崎市)の養鶏場のニワトリに与え、産まれた卵は5社の店舗で料理に使う。

5社は卵として買い戻すため、廃棄物を排出した責任を果たせる。また「リサイクルの必要な経費を認識できる」(高部氏)のも効果の一つ。5社が適切なコストを支払うと再生事業者は品質の高いエサを製造でき、それが巡り巡って卵の安定供給へとつながる。食品を飼料化する循環は「食品リサイクルループ」と呼ばれる。

5社のリサイクルは7月に農林水産、環境、厚生労働の各大臣から食品リサイクル法に基づく「再生利用事業計画」の認定を取得した。手続きの簡素化ができ、よりリサイクルを効率化できる。

15年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)で食品廃棄の削減が掲げられた。国内では19年10月に「食品ロス削減推進法」が施行されるなど、食品廃棄への社会的関心が高まっている。

国内における17年度の食品廃棄物は1504万トン。外食産業は56万トンと少ないが、リサイクルで遅れている。1社・1店舗では廃棄削減に限界があり、他社との共同は解決策となる。高部氏はSEFのような第三者の調整が有効と指摘し、「本業で競合する企業が手を組むことは難しいが、垣根を越えてこそ意味がある」と語る。

日刊工業新聞2020年10月9日

関連する記事はこちら

特集