すべてのフィルム製品をバイオプラスチック化する東洋紡の長期戦
東洋紡は2050年までに工業用や食品包装用などの全フィルム製品をバイオプラスチック化する。13年度比で18万トンの二酸化炭素(CO2)削減効果を見込む。推進役として研究開発部門内に専門グループを設置した。半年をめどに材料開発などの大枠を決める。主力の石油由来フィルム製品のバイオプラ化に挑戦し、環境対応フィルムのトップメーカーを目指す。
このほど設置した専門グループ「サステナブルインキュベーションユニット」は現在5―6人程度で構成しているが、今後増員する。事業部の企画部門と連携し、開発を目指すバイオプラの機能や用途を絞り込み、材料の評価も進める。
同社のフィルム・機能樹脂事業は、19年度の売上高で全体の4割以上を占める。現時点の全フィルム製品におけるバイオプラ比率は公表しておらず、30年時点ではバイオプラ含有製品5%を目指し、段階的に比率を高めているところだ。
ただ、包装用フィルム「バイオプラーナ」などの製品で植物由来のバイオプラを製造する技術をすでに完成しており、原料コストの低減を進めるなどして50年の目標達成は可能とみている。
東洋紡は成長戦略の重点項目にバイオポリマーやリサイクル技術の開発を掲げる。社外でも12社と共同で新会社「アールプラスジャパン」を設立、27年に使用済みプラスチックの再資源化の実用化を目指すなど、環境負荷の低減に関する取り組みを加速している。
日刊工業新聞2020年8月5日