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換気システムで海外市場に挑むパナソニック、鍵になるのはIoT活用

換気システムで海外市場に挑むパナソニック、鍵になるのはIoT活用

住宅向け「第1種全熱交換形換気システム」で用いられる「全熱交換ユニット」

コロナ禍で換気システムのニーズが高まる中、パナソニックは「第1種全熱交換形換気システム」の住宅向け年間販売台数を、2026年3月期までに現在の2倍とする計画を打ち出した。同システムは十分に換気でき、かつ省エネルギー効果も期待できる。日本と中国では、同製品のシェアはパナソニックがトップクラス。高付加価値製品によって海外市場で攻勢をかけている。(大阪・園尾雅之)

第1種全熱交換形換気システムは、子会社パナソニックエコシステムズ(愛知県春日井市)が手がける。給気と排気の両方に換気扇を用いる「第1種換気方式」と、外気を室内温度に近づけてから取り込む「全熱交換形換気」を組み合わせた。

日本の住宅は、排気のみに換気扇を使う「第3種換気方式」が主流。だが同方式だと、窓が開いた時など空気の流れが変わると十分に換気できない。第1種はその欠点を克服できる。そこに全熱交換の仕組みを組み合わせることで、併用するエアコンの温度調整の負担を少なくできる。

同製品の展開が期待できるのは、中国、北米、北欧など。特に中国では、粒子状物質(PM)2・5による大気汚染が深刻化した2010年代以降、換気システムのニーズが急増しているという。

だからこそ中国は最重要市場。パナソニックは中国では、換気システムという「空質」と、エアコンという「空調」を同じビジネスユニットにし、迅速な提案を実現している。

ただ換気システムとエアコンは、そのままでは互いの機器の存在を認識できない。だからこそ、IoT(モノのインターネット)基盤を活用したデータ連携が重要になる。パナソニックエコシステムズ戦略企画本部副本部長の池田博郎執行役員は「エアコンの運転状況に合わせて換気システムが動くようにシンクロさせれば、上質な空気環境を提供できる」と、中国ならではの戦略を説明する。

パナソニックエコシステムズは今後、換気システムなどの空質関連事業で、東南アジアなど海外展開をさらに強化する考え。環境エンジニアリング関連事業と合わせて、26年3月期までに海外売上高を、現在の約2・3倍となる1800億円規模へ高める方針だ。

日刊工業新聞2020年10月6日

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