GPSアンテナ搭載型トラクター、有人コンバインと連携へ

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有人のコンバイン(左)と無人のロボットトラクター(右)を同時に運転。収穫後の稲わらを田の土に混ぜ合わせる

井関農機は農業・食品産業技術総合研究機構やアグリ山崎(茨城県坂東市)などと共同で、収量コンバインとロボットトラクターによる収穫同時すき込み作業の実証実験を行った。稲を刈り取るコンバインの傍らで無人のロボットトラクターを走らせ、収穫後の稲わらを田の土に混ぜ合わせる。稲わらを土にすき込む作業は通常、収穫翌年の春に行う。収穫と同じ秋に行うことで土壌の肥沃(ひよく)度が向上。メタンガスの放出減による地球温暖化の緩和効果も期待できる。

稲わらのすき込みは田の土づくりで重要な意味を持つ。稲わらが微生物で分解され、有機肥料になることで翌年の稲収量が向上する。冬場の土の乾燥や凍結の影響を避ける上でも、本来はすき込み作業を収穫と同時期に行うのが望ましい。ただ、収穫期はコメの出荷作業に追われるため、実施は困難だった。井関農機の実証ではこの課題を、有人コンバインと無人ロボットトラクターの同時運転で解決した。

ロボットトラクターは全地球測位システム(GPS)アンテナを備える。対象となる田の4点の場所を登録すれば経路を自動的に作成し、人がいなくても耕運作業を行う。

人が乗ったコンバインでロボットトラクターを監視すれば、稲の刈り取りと脱穀、稲わらのすき込み作業が同時で行え、作業効率が高まる。

土の水分が多く気温も高い秋にすき込みを行うことで稲わらの腐食が十分に進む。翌年の稲の収量が向上、施肥の量も節約できる。

実証実験で協力したアグリ山崎ではすき込んだ稲わらによる栽培で“有機米”をアピール。米国やカナダ、フランス、英国、豪州などへ売り込む考えだ。有機米は通常栽培米よりも安全性やおいしさを武器に高価で売れるため、すし米や業務需要を見込んでいる。

井関農機はすき込みの秋実施により、トラクターの稼働率を向上できる。秋の土は軟らかいため、トラクターの機械寿命の向上や故障防止にも貢献する。

日刊工業新聞2020年10月5日

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