コロナ禍で農機が「七変化」の大活躍をするワケ

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ブラジル・サンパウロ州で夜間に消毒作業するヤンマーHDのトラクター

トラクターをはじめとする農業機械が世界各国で意外な“活躍”の姿を見せている。トラクターは作物を育てるために畑を耕し、重量物の運搬作業に使うのが本来の一般的な姿だ。ただ取り付けるインプルメント(作業機器)やアタッチメントによって、その“姿”は幾通りにもなる。世界中で新型コロナウイルスの感染者増加に歯止めが掛からない中、国内農機主要3社の製品が世界各地の消毒活動などで一役買っている。(林武志、嶋田歩)

クボタはインドで農機製造・販売を担う子会社、クボタインド農業機械(KAI)のマーケティング部門が同国でのトラクターを活用した消毒作業を企画・立案した。4―5月にかけ、クボタのコンパクトトラクターが多く出荷されている地域のディーラーを選定。KAIが主導して23ディーラーと共同で、ディーラー所在地周辺の村などで消毒活動を実施した。トラクターと、農地で除草剤散布などに使う機器であるスプレイヤーは現地のユーザーから借用した。

クボタのトラクターを用いたインドでの消毒作業

インド国内の幅広い地域において、KAI主導で実施した消毒活動は計160回に上った。6月以降は、KAIの活動に触発された格好で、各ディーラーが単独で消毒活動に取り組んでいる。

ボルソナロ大統領が新型コロナに感染し、感染者数は米国に次ぎ世界2番目となったブラジルでは、ヤンマーホールディングス(HD)のトラクターが活躍する。

農機製造・販売の現地子会社、ヤンマーサウスアメリカ(YSA)が新型コロナの消毒作業のため、拠点があるサンパウロ州インダイアツーバ市の市役所に協力した。消毒液を噴霧する装置を取り付けたトラクターを貸し出し、YSA社員がオペレーターとして同市内で消毒作業に当たったという。

一方、オランダにある農機や発電機などを扱う販売子会社、ヤンマーヨーロッパ(YEU)はイラクの首都バグダッド市で発電機製造の現地企業と組み、3月から同市内で消毒作業に取り組んでいる。消毒作業にはヤンマー製エンジンが搭載されている現地企業の発電機と噴霧装置を使用。イラクでは現在も作業を継続している。

井関農機は中国で乗用管理機による消毒作業を実施。井関の関係会社である東風井関農業機械(湖北省)の常州工場で製造した機械が、武漢市や襄陽市など5市の市街地で大規模な消毒剤噴霧作業を行い、感染拡大防止に重要な役割を演じている。

中国で消毒剤を噴霧する井関農機の乗用管理機

消毒剤噴霧ではアームの長さを伸ばすことにより、幅の広い道路や広場の消毒が短時間で行える。襄陽市政府からは「大規模噴霧消毒作業に適し、操作も簡単。さまざまな環境に適応ができる」と高評価を得ており、200台以上が現場で活躍中だ。

農場の“万能プレーヤー”ともいえるトラクターや乗用管理機は、取り付ける機器によって作業の幅が格段に広がり、街中でも活躍する。新型コロナ収束に向け、消毒作業における農機の地道な貢献活動が続きそうだ。


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日刊工業新聞2020年7月23日

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