JAXA、「H3」ロケット打ち上げ延期の理由

タービンに疲労破面

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H3ロケット(イメージ=JAXA提供)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2020年度に打ち上げを予定していた大型基幹ロケット「H3」試験機1号機の打ち上げを21年度に延期する。5月に行ったエンジンの燃焼試験後に、燃焼室内壁の開口とタービンの疲労破面が発見された。エンジン全体の技術データ取得試験やタービンの翼振動試験を行い、打ち上げで想定される作動範囲での開発仕様を実証する。

打ち上げ延期の原因であるエンジンの燃焼室内の開口は、燃焼室を冷やす水素が通る冷却溝付近で14カ所見つかった。燃焼室内壁を高温作動条件で試験すると、設計値よりも燃焼室内壁が高温になることが分かった。

定常時の局所的な熱の流入と、起動と停止過渡時の一時的な冷却不足が原因と推定された。冷却の強化や起動と停止パターンの見直し、燃焼室内壁の温度低減を試みる。エンジン燃焼試験で技術データを取得し効果を検証する。

もうひとつの原因であるタービンの疲労破面は、外部からの振動でより内部の振動が強まり、金属疲労の蓄積が進行したと考えられる。タービンの設計を変え、翼振動試験を行う。H3試験機1号機は21年度、試験機2号機は22年度の打ち上げとなる見込み。

日刊工業新聞2020年9月12日

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