衝撃波抑えた超音速機、JAXAが26年にも飛行実験

騒音被害が実用化の壁に

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は地上に騒音被害をもたらす衝撃波「ソニックブーム」を減らした超音速航空機(SST)の飛行実験を2026年にも実施する検討に入った。文部科学省は研究開発のグランドデザインにかかる費用を20年度予算の概算要求に盛り込む方針。数億円とみられる。JAXAは21年度にもエンジンを搭載した無人の小型実証機の開発に着手する。

 実証機は大きさ12メートル程度。エンジンの排気の影響を評価できる推進系を持ち、ソニックブームの影響を評価できる超音速での飛行やロバスト(頑健)性を示すため繰り返し実験が可能であることなどを設計に盛り込む。特定の飛行条件でソニックブームを発生させ、上空と地上で計測。さらに空港での離着陸時の騒音の計測などを行うことを検討している。

 SSTは、移動時間の短縮による経済効果などが改めて注目され、各国で開発が盛んになっているが、超高速に達した後に発生するソニックブームによる騒音被害が実用化の壁となっている。国際民間航空機関(ICAO)では、低ソニックブームなどの国際基準の策定が議論されている。米航空宇宙局(NASA)の実証機の飛行試験が行われれば、25年にもソニックブームの基準が提案され、低ソニックブームの超音速機の開発環境が整う可能性がある。

 JAXAは将来の実機開発を見越し、日本航空(JAL)などとの意見交換を行っている。さらに日本航空宇宙学会は超音速研究会を設立。JAXAのほかSUBARU(スバル)や三菱重工業、IHI、首都大学東京、東京大学などが参画し、技術実証に向けた産学官連携体制を構築している。

日刊工業新聞2019年8月2日(科学技術・大学)

小川 淳

小川 淳
08月02日
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超音速旅客機といえば、コンコルドを思い出しますが、衝撃波のせいで就航空港が極めて限られたことや航続距離の短さ、旅客数の少なさなど、経済性の壁を越えられず、2003年に退役しました。現在、技術の進展で超音速旅客機の計画が再度見直しされており、ボーイングなどはロンドンーニューヨーク間を2時間で結ぶ超音速旅客機の計画を進めているといわれます。JAXAの取り組みがどこに結実するかは分かりませんが、こうした流れに遅れないようにすることは重要です。

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