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月に1度の座禅会や低料金のバランス食で「働き方改革パイオニア企業」に

月に1度の座禅会や低料金のバランス食で「働き方改革パイオニア企業」に

本社内の座禅堂で月1回座禅を組む

月1回、就業時間中に開催

英田エンジニアリング(岡山県美作市、万殿貴志社長、0868・74・3637)は、さまざまな社員の健康増進に向けた取り組みを推進している。4月には本社敷地内に社員食堂やトレーニングジムを備えた福利厚生棟が完成。社員約50人が一堂に集まれる座禅室も整備し、就業時間中に参加する。座禅には新鮮な気持ちで仕事に臨めると効果を実感している。(岡山支局長・大櫛茂成)

英田エンジニアリングは同県北部の美作市に本社と工場を構え、社員数135人と県内では中堅の製造業だ。駐車場向け機器やシステム、破砕機向け刃物などを生産し、2019年12月期の売上高は約59億円だった。本社の隣接地を同市から取得して刃物の熱処理などを行う新工場を建設し、同時に福利厚生棟を整備した。

福利厚生棟は2棟。一つは150席を備える社員食堂で、もうひとつはトレーニング室と座禅室で構成する。万殿社長は福利厚生棟整備の理由を「経営理念で掲げる『お客さんを大事にする』『従業員も大事にする』ことの実践」と語る。

座禅室は50畳ほどの広さがあり「座禅堂」と名付けた。社員が座禅に参加するのは月に1回。1人の参加時間は30分、4グループに分け、合計2時間行っている。江戸時代の岡山藩主、池田氏の菩提(ぼだい)寺でもある曹源寺(岡山市中区)に指導を依頼した。

背筋を伸ばして、足を組み、深い呼吸を繰り返す。そうすると「肺が広がり、新しい酸素が体内に入り、全身の細胞が活性化する」(万殿社長)という。華道と茶道を長年修練し、両道の指導者でもある角南元恵取締役総務部長は「座禅の間は無心になれる」と解説する。日頃の悩みなどが取り去られ、気持ちをリフレッシュして仕事に臨めるようだ。

体の健康は週に1度のトレーニング。従業員は就業後の18時から20時まで汗を流す。トレーニングジム開設にあたり、トレーナーを社員として採用。社員の目標を聞き、個別のトレーニングメニューを作成した。万殿社長の目標は「ゴルフのドライバーで飛距離270ヤード」。トレーニングの結果、「2カ月で筋肉が5キログラム増え、脂肪が3キログラム減った」(同)と効果を実感している。

社員食堂では食事を通じて健康づくりを後押しする。会社が費用の約半分を負担し、日替わり定食などを300円程度で提供する。バランスのよい食事を低料金で取れるため、社員にも好評だ。

ご飯と汁物はセルフ形式の社員食堂。バランスのよい食事を提供する

同社は以前から働き方改革に取り組み、岡山労働局から19年に「岡山働き方改革パイオニア企業」として選定された。有給休暇の月1回取得の徹底や女性が働きやすい環境の改善、65歳までの雇用延長などの取り組みが評価された。社員の平均年齢は男性37歳に対し、女性は39歳。女性が働きやすい職場は数値からも読み取れる。

福利厚生棟の完成により、社員の心・体・食の健康づくりを一層進め、働き方改革を推進する。

日刊工業新聞2020年9月9日

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