JDIが8Kディスプレーを開発、輝度は従来の2.5倍
ジャパンディスプレイ(JDI)は東京工業大学などと共同で、偏光レーザーバックライトを用いて輝度を従来品比2・5倍の1平方メートル当たり1090カンデラに高めた8K液晶ディスプレーを開発した。バックライトの導光板材料などを見直し、液晶パネル部分での入射光の吸収を抑えた。放送局や医療用モニターのほか、仮想現実(VR)ゴーグル向けへの展開を検討する。2022年前半の量産開始を目指す。
JDIは東工大、慶応義塾大学と17・3型の8K液晶ディスプレーを共同開発した。慶大・小池康博教授が開発した「ゼロ・ゼロ複屈折ポリマー」をバックライトの導光板に採用して構造も工夫したことで、90%近い偏光度を実現した。
一般的なバックライトは発光ダイオード(LED)から出た光が導光板に反射する際に光の向きが不均一になり、液晶を挟む偏光板で最大半分ほど吸収されてしまう問題があった。開発品は光源の偏光レーザーから出た光の偏光度をほぼ保ったまま偏光板に入射でき、液晶パネル部分での光吸収を防いで高輝度化を達成した。光損失を抑えるために液晶パネルとバックライトの間に設置する反射偏光板も不要になる。
また、NHKも8K放送で採用する国際標準規格「BT.2020」の色域に対して98%のカバー率を誇り、高い色再現性を実現する。放送局など業務用途を中心に需要を開拓したい考えだ。今回の開発は科学技術振興機構(JST)の支援を受けた。
日刊工業新聞2020年9月8日